コンビニおでんの大根のヒミツ

社会

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 コンビニがおでん商戦に本格的に力を入れる季節がやってきました。店に入ったとたんに、ダシの強い匂いがしてくることもあります。

 そのコンビニおでんの定番のタネのひとつが「大根」。数少ない野菜系のタネだし、カロリーも低そうだし、ということで買う人も多いことでしょう。セブン-イレブンは年間で5500万個も大根おでんを販売しているそうです。そのためには何と1200万本もの大根が使われています。

 しかしあのコンビニおでんの大根、よく考えると不思議なところがあります。家庭で作るおでんの大根と比べて、形が整いすぎているのです。あんなにダシの味が染みているのに、綺麗な円柱形を保っていて、煮崩れていません。いつどこで買っても、同じくらいのサイズが保証されています。家庭で煮た場合は、もっと大きさもバラバラですし、少し時間が経つとすぐにグズグズの形になってしまいます。

 なぜそんなことが可能なのか。実はあの大根、家庭で私たちが使っているのとは別の品種なのです。その秘密を明かしてくれているのが、『キレイゴトぬきの農業論』(久松達央 新潮新書)です。著者の久松さんによると、コンビニおでんで使われている大根は、俗に「客待ち品種」と呼ばれるもの。

 特徴は「煮崩れないこと」「大きさ・断面が一定であること」「青首大根のように緑色にならず、どこも白いこと」などです。

 この特徴がある大根をコンビニは専用の工場で特別な加工をしたうえで店舗に出荷しています。だから、グズグズにならないし、「俺のタネのほうが小さい」といった揉め事も起きないというわけです。

 もっとも、そういう品種で大根の美味しさを十分に味わえるかどうかは別問題。自らの農園で有機野菜をつくっている久松さんは、「僕が考える冬の大根の美味しさは、トロっと煮崩れるあの食感と甘さです」と語っています。

 もちろん、好みはそれぞれですが、家の煮崩れた「グズグズおでん」も胸を張って味わってよいということなのです。

デイリー新潮編集部