4期目が濃厚な「習近平主席」をじわじわ追いつめる地方政府の「デフォルト危機」…財政難を理由に“でっち上げで人民から罰金を徴収”する異常事態に

国際 中国

  • ブックマーク

 財政難に陥った中国の地方政府が、何と罰金で収入を増やしているという。日本経済新聞(電子版)は9月7日、「中国の地方政府、罰金収入が過去最高10兆円 不当な法執行が横行」との記事を配信した。この記事によると、地方政府の財政難は極めて深刻で、罰金を取るためには“でっち上げ”も辞さないようだ。例えば昨年10月、広東省に冷凍豚足を運ぶはずのトラックは、なぜか河南省に向かっていった──。(前後編の前編)

***

 河南省に入ると地方当局の職員が現れ、検疫不備などの理由で20万元(約480万円)相当の豚足を差し押さえた。

 本来なら差し押さえが行われると、荷主は現地に駆け付ける必要がある。だが移動費が大きな負担だし、煩雑な事務手続きに時間を取られてしまう。

 そのため中国では貨物を差し押さえられると手放す荷主が多い。実は、これを地方政府は狙っているという。

 荷主に罰金を払わせるだけでなく、差し押さえた荷物を競売にかけて“収入”を増やしてしまうのだ。この“豚足事件”の場合、地方政府と運転手は“グル”だった疑いが指摘されている。

 台湾メディアは以前から中国の罰金問題に注目し、詳報を行ってきた。例えば国営通信社の中央通訊社は22年8月、「中国地方政府の財政難、罰金による収入確保の混乱広がる」との記事を配信している。

 記事によると、財政難から罰金の取り立てに奔走した結果、罰金収入が前年の1・5倍、2倍という地方政府が続出しているそうだ。

《地方の交通当局の中には、いわば「罰金の月極契約」まで導入したところがあり、その手口は多種多様だという》

“罰金のサブスクリプション”

《例えば、山東省成武県では、大型トラックの運転手が地元の交通運輸局と協力し、当月分の罰金を前払いしておく。その後、過積載や車高超過が見つかっても、取り締まりを受けないという》

 どうやら罰金が一種の“サブスクリプション”として活用されているらしい。毎月、定額の罰金を地方政府に支払えば、あとはどんな違反でもやりたい放題というわけだ。開いた口が塞がらないとはこのことだろう。

『ピークアウトする中国「殺到する経済」と「合理的バブル」の限界』(文春新書:梶谷懐氏との共著)などの著書で知られるジャーナリスト・千葉大学客員教授・明治大学客員研究員の高口康太氏は、中国を取材して「月刊文藝春秋」や「日経クロストレンド」に寄稿するほか、データで中国を読み解くニュースサイト「The Tokyo Desk on China(ザ・トーキョー・デスク・オン・チャイナ)」を運営している。

 高口氏は「中国には『鉄を潰し、鉄くずにして売る』という言葉があります。これは『ありったけの財産を投げ出す』という意味になります」と言う。

次ページ:企業にも罰金を請求

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]