「紅白」司会は親にも秘密、台本は本番わずか6日前…元NHKアナ・宮本隆治が明かす衝撃の“舞台裏”

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自分が主役ではない

――池上さんは記者職でしたが、山川さんや鈴木さん、森本毅郎さん(87)、膳場貴子さん(51)らNHK出身の名アナは挙げたらきりがありません。どうして名アナが多く生まれるのでしょう。

 まず、NHKアナには地方局勤務が付きものですが、これは良いこと。地方勤務を経験すると、東京が社会の基準ではないことに気づくんです。地方の目線が自然と理解できるようになります。

 また、NHKにいると、自分が主役でないということも意識しやすい。中心は歌手とかゲストなんです。そういった方たちを際立たせるのがアナの役目だと思うようになります。

――確かにNHKは民放と違い、スターアナやアイドル的なアナを意識的につくることがありませんね。

 アナ同士の足の引っ張り合いもないですし、若手を育てようという意識は強い。僕も若手アナを集めた研修会で、自分のノウハウをすべて伝えました。

――プロの視点で優れていると思うNHKの後輩アナを1人挙げてください。

「NHKニュース7」(毎日午後7時)を月曜から木曜まで担当している糸井羊司アナ(48)です。あの信頼感のある語り口と声、倍音は素晴らしい。

――倍音とは、基本となる音に重なって聞こえる複数の音の成分ですね。倍音によって声の音色や響きに違いが生じる。

 はい。あの声は魅力的です。響きもある。

――宮本さんご自身のアナとしての自己評価は?

 日本語やイントネーションは昭和、平成、令和と時代とともに移り変わりましたが、「日本語の防人」としての自負を持ち、変化を熟知してきたつもりです。

――硬軟さまざまな仕事をされてきましたが、視聴者側にとって印象深いのは、やはり歌謡番組です。思い出深い歌手の方はいますか。

 たくさんいるのですが……。島倉千代子さんはクーラーが嫌いでした。のどへの悪影響を心配していたからです。夏でもクーラーを止めているから、楽屋に行くと暑いんですよ。それを覚悟でご挨拶に行っていました。

――大半の楽屋は窓がなく、風も通りませんからね。

 あるとき、ご挨拶に行くと、「宮本ちゃん、ニュースはちゃんと読まなきゃダメよ」と言われました。宿直の日に読んだニュースをちょっと噛んでしまったことを心配してくれていたんです。僕の歌謡番組以外の仕事も気にしてくれていました。

――苦労された方らしい言葉ですね。

 僕が司会をやっている「宮本隆治の歌謡ポップス☆一番星」にゲスト出演してくれたこともあります。収録後、「宮本ちゃん、みんなと一緒に食事に行くわよ」と言われ、店の手配を頼まれました。長くお付き合いさせていただきましたが、そんなことは初めてでした。その約1カ月後、亡くなられたんです。2013年の秋でした。お別れを言いに来てくれたのでしょうか。

――おそらく、そうでしょう。他界される数ヶ月前には葬儀の方法などを近しい人に頼んであったそうですから。

 僕のアナウンサー人生は53年。その間、政治、文化、スポーツ、芸能の第一線で活躍されている多くの方々と対話し、数多くの市井の方々とも触れ合ってきました。それが財産です。

■宮本隆治(みやもと・りゅうじ)
1950年10月、福岡県生まれ。慶應大学文学部卒。1973年、NHK入局。帯広、京都、福岡などの地方局を経て東京に勤務。「NHK歌謡コンサート」「思い出のメロディー」などを担当。2007年に定年退職。その後はテレビ東京「木曜8時のコンサート~名曲!にっぽんの歌~」(2016年終了)の司会などを務める。著書は『老いはのどからやってくる』(サンマーク出版)

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社。放送担当記者・専門委員として、1994年のNHK連続テレビ小説「春よ、来い」のヒロイン途中交代や、1999年のフジテレビ「愛する二人別れる二人」のやらせ問題などを特報する。2015年に毎日新聞出版へ入社し、サンデー毎日編集次長を務める。編集者としては「小池百合子都知事の真実」などを担当した。2019年に独立。元・放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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