「高市首相」公邸に引きこもりでSPの仕事は激減…暇すぎて警護スキルの低下を心配する声も

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かなりの狭き門

 もうひとつのルートは、いわゆる“スカウト”だという。

「柔剣道で3段以上の有段者の中で、警備部の幹部が“これは”と見込んだ警察官に声をかけることがあるんです。私もその一人でしたが、この場合は先の警護専科での研修を経ずに警備部警護課に配属されるケースがほとんど。書類選考を経て面接を受け、合格すれば警護課の所属となる。と言って、その全員が警護員になれるというわけでもありません」

 かなりの狭き門であることは間違いなさそうだ。

「職員やSPを含む警護の負担を軽減できる」

 話を高市首相に戻そう。普段から公邸にこもりがちな首相には、党内外から「もっと会合をもったり、多くの人と会って当事者たちの生の声に耳を傾けるべきだ」との指摘が寄せられている。それでもご本人はどこ吹く風だ。

 8月22日はSNSに〈公邸内での打合せなど公邸での執務は、総理の日々の動静としては報じられませんが、私としては、「公邸も職場」というのが実感です。私が公邸に居ることで、職員やSPを含む警護の負担を軽減できますので、平日は、官邸から公邸に移動するタイミングを、夕方の出来る限り早い時間帯にしています。そして、休日や平日の早朝・夜間は、どうしても必要でない限り、公邸から出ないようにしています。私の外出により、対応するSPの人数と負担が多大なものになるからです〉と、自身が出不精である理由を投稿した。

下がらない警護スキルと士気

 首相が公邸から出ないなら、SPたちが仕事をする機会が減ることになる。それだけ待機時間が長引いて、ひいては警護スキルが下がったり、士気が低下したりということはないのだろうか。

「退官したいまでも詳しいことは明かせないんですが、そういったご心配には及びませんよ。例えば、首相の警護には数十人という規模のSPが関わっており、彼らは複数の班に分かれている。もちろん、急な外出に備えて待機している班もいますが、それまでの間、彼らはヒマを持て余してテレビを見たり、新聞や雑誌を読んだり、将棋を指したりしているわけではありません。先々の首相の日程確認や、それに伴う警備計画の作成、或いはすでに終えた警護活動の報告書も作らなければなりません。時間に余裕がある班は高速道路に出て行って車列の走行訓練を行ったり、人によってはホテルオークラやニューオータニなど、実際に党大会やパーティが開催される場所に足を運んで、到着場所から現地までの動線はもとより、有事の際の避難経路や車両の停止位置の確認、建物内を歩いて構造を改めて頭に叩き込んだりして過ごしています。警護対象者には指一本触れさせるわけにはいきませんから、SPたちは常に警護スキルの維持と向上に努めている。やるべきことが多すぎて、士気が下がる暇はありません」

 官邸内の警護課オフィスでは上司やデスクが課員に睨みを利かせつつ、日々、あれやこれやと指示を出しているという。そこでは企業のオフィスと同じか、それ以上の緊張感がみなぎっているそうだ。

安倍晋三元首相銃撃事件の影響

 2022年7月8日、警視庁をはじめ都道府県警のSPたちの自信とプライドを大きく揺るがす一大事件が勃発した。奈良県奈良市の近鉄大和西大寺駅前で選挙演説を行っていた、安倍晋三元首相が銃撃を受けて命を落とした事件である。当時はメディアが連日のように「警察史に残る大失態」と報じたことは周知の通りだ。

 現在は都内のホテルで働く、元警視庁SPが振り返る。

「事件以降、全国の警察官の意識は大きく変化したと思います。何年か前、勤務先でとあるパーティが行われることになりました。そこに、かつての同僚が姿を見せて、“とある閣僚を担当している”と言うんです。パーティの1時間ほど前にSPたちが到着し、車付けの位置や閣僚が移動する際の導線、さらには別の宴会場でどのような催しが予定されているのか、といった点まで細かくチェックしていました。全員に驚くほどの緊張感が漲っていて、彼らがやって来ると同時にパーティ会場の空気が一変したことを覚えています」

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