「夫婦の営みを“あえてしない”という選択肢も」 専門家は「夫婦問題で相談に来る方の7割以上は悩んでいるが…」

国内 社会

  • ブックマーク

【全2回(前編/後編)の前編】

「諦める」。どちらかといえば、ネガティブなニュアンスを読み取る向きも少なくあるまい。しかし、諦めることで新たな展望が開けるとしたら――。政治、経済、芸能と、何から何まで八方ふさがりの現代日本に風穴を開けるべく、識者が“正しい諦め方”を指南する。

 ***

 1970年代、オイルショックの頃から本格的に始まった「少子化」。短くないその“歴史”の中で「児童手当」など各種支援金や補助金の拡充が図られてきた。3年前には「こども家庭庁」なる行政機関が発足したものの、今のところめざましい成果は上がっていない。

 そもそも少子化は憂うべき事態なのだろうか。

「私は人口減少を“問題”ではなく“現象”として捉えています」

 そう語るのは、国際教養大学の工藤尚悟准教授だ。

「少子化への対策というと、人口の増加・安定を目指す施策が目立ちますが、その効果は限定的にならざるを得ません。たしかに人口が減れば働き手が不足し、公共サービスやインフラを維持するために負担する1人当たりの費用は高くなります。しかし、これらの問題は、人口が増え続けることを前提に作られた仕組みを、そのまま維持しようとするから生じているのではないでしょうか」

 人口増を目指すのを諦める代わりに、必要なのは“人口減少時代にふさわしい社会を再設計すること”だという。

「例えば人口が減った地域では、従来のように学校や病院を維持するのは難しくなる。そこで、空き家や空き店舗などを学びの場として活用し、積極的にオンライン授業を取り入れるのも一つの方法です。医療についても、訪問看護とオンライン診療を組み合わせるなど、新たな仕組みを作ることができるはずです」(同)

「ハグするなど触れ合いがあれば、無理してしなくていいのでは」

 少子化と切っても切れないのが、夫婦の営みだ。

 家族問題評論家の池内ひろ美氏によれば、

「夫婦問題を抱えて相談に来られる方の7割以上は夫婦の営みに関して悩んでいます。20~30代の場合は、結婚して10年以上たつと、この悩みが急激に増える。新鮮味もなくなるし、“相手のお腹が出てきた”といったネガティブな面が目につくようになってしまいます」

 さらに齢(よわい)を重ねると、理由が変わってくる。

「40代は子育てに忙しいので、夫婦の営みについて考える暇がありません。子育てが一段落つく50代になると、夫婦がもう一度“男女”として向き合うか、家族という共同体の“仲間”として生きていくか、選択を迫られることになります」(同)

 肉体的にも変化が訪れる。

「男性は性的な欲求や機能が衰えますし、女性は閉経によって行為の際に痛みが出てくることもある。そうなると、相手への思いやりとして行為をしない選択があり得ます。外出するときに手をつなぐ中高年夫婦で、夫婦の営みがないというケースは珍しくない。毎日言葉を交わしてハグするなど触れ合いがあれば、無理してしなくていいのではないでしょうか」(同)

次ページ:「“一生同じ家に住む”という時代ではない」

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]