「思春期の女子は、特に警戒が必要」 子どもの「SNS依存」で自殺、自傷行為が増加… 対策のためにできる「4つのこと」とは

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スマホを取り上げても、仲間外れに

〈とりわけ異変が目立つのが女性だ。同年の小中高生の自殺者529人のうち、女子が290人に対して男子は239人。25年も538人中、女子280人、男子258人と、2年連続で女子が男子を上回った。さらに自傷や自殺未遂などによる0~19歳の女性の救急搬送率は、16年の人口10万人当たり15.7人から、23年には44.0人へと約2.8倍になった。同年代の男性では同じ期間に7.0人から12.0人への増加だった。〉

 国によって時計の進み方は違います。それでも、最も大きく動いている針が“思春期の女子”である点は、奇妙なほど共通しています。では、われわれはどうすればこのわなから抜け出せるのでしょうか。これは個々の家庭だけでは解決できない“集団行動の問題”です。一人の親が子どもからスマホを取り上げても、同級生全員がSNSをやっているならその子だけが仲間外れになってしまう。だから親は、危険だと分かっていてもスマホを与えてしまう。全員がこのわなにはまっています。だからこそ、全員で一緒に抜け出さなければなりません。

SNS以上に警戒が必要なAI

 私が提案している新しい規範は四つです。

 第一に高校進学前、アメリカでいえば14歳になるまではスマートフォンを持たせない。第二に16歳まではSNSを使わせない。第三に学校をスマートフォンのない場所にする。そして第四に現実世界で子どもに自立を許し、もっと自由に遊ばせることです。

 問題はスマートフォンを取り上げれば解決するというものではありません。私たちは、子どもをスマホから遠ざけると同時にスマホが奪ったものを返さなければならない。友達と自由に遊ぶ時間。外を走り回る時間。大人の監視を離れて冒険し、失敗し、自分たちで問題を解決する時間です。

 さらにいま、私がSNS以上に警戒しているのがAIです。SNSは人々の“注意”を乗っ取りましたが、AIは人間同士の“関係”そのものを乗っ取ろうとしています。AIとしか関係を結ばない人は、かえって深い孤独に陥ります。今後、若者が自分の人生には意味がある、自分は誰かに必要とされていると感じることも難しくなるでしょう。AIが情報を与え、性的欲求を満たし、心の支えにまでなるなら、私たちはお互いを必要としなくなるからです。

 私たちは、情報を得るためにも、性的な関係を求めるためにも、慰めや支えを得るためにも、人間を必要としなくなるかもしれない。このまま進めば子どもはAIを組み込んだ玩具に育てられ、AIの恋人に恋をし、AIのセラピストに悩みを相談するようになるでしょう。それは子どもの発達を深刻にゆがめ、人間同士の関係を破壊する可能性があります。

 SNSは子ども時代をスマートフォンの中へ移しました。AIは次に人間関係そのものを、人間の外へ移そうとしているのです。

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 前編では、性的脅迫に薬物売買など、子どものSNS利用に潜むリスクについて報じている。

ジョナサン・ハイト
ニューヨーク大学スターン経営大学院教授の社会心理学者。2024年に米国で出版した著書『不安な世代』はニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーランキングで第1位を獲得した。同書は各国のSNS規制に影響を与えている。

週刊新潮 2026年10月29日・11月5日号掲載

特別読物「規制のきっかけを作った世界的ベストセラー作家の告白 『SNSほど大規模に子どもを傷つけた存在は他にない』」より

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