【食ビジネス「日中戦争」】中国での委託加工の代償はあまりに大きかった・・外食チェーン・スーパーに潜む以外な「中国食材」
回転寿司のマグロをはじめ、カフェチェーンの抹茶ドリンク、ファストフードのアップルパイにまで中国産の食材が使われていた――。これまで週刊新潮が報じてきた中国産食材の知られざる実態で浮き彫りになったのは、外食チェーンのメニューやスーパーなどが扱う冷凍やチルド食品、缶詰などの食料品に中国産食材が多用されている現実だった。今や中国はAIから産業用ロボット、EVなどの先端技術で日本を凌駕するが、我々の生命や健康に直結する分野でも国産品は競り負けてしまうのだろうか。「食」ビジネスの裏で勃発する“日中戦争”の最前線を覗いてみた。
「回転寿司チェーン」急成長の立役者は中国だった
中国産と聞いて誰もが脳裏に思い浮かべるのは、“国産よりも安い”というイメージだろう。しかし、GDPで日本を追い抜き世界2位となった中国は、人件費も以前のように安価ではない。おまけに昨今の円安である。わざわざ中国からの輸入食材を使うメリットはないように思われるが、マグロ握りに象徴されるように、日本の水産業は中国なくしては成り立たない状況に陥っている。
「もはや中国は日本の水産業界に深く入り込んでいるのが現状です。また中国からの水産物を取引の柱としている日本企業は数多くあります」
とは、大手水産会社で勤務した経験を持つ水産アナリストの小平桃郎氏だ。
「この業界で働いてきた実感から言えば、大きな転換点があったのは2000年代の初め頃のことでした。当時は円高の影響もあり、日本の工場で水産物を加工するより、中国など海外の工場に頼んだ方が圧倒的に安い時代。そこで急速に広がったのが、中国での『委託加工』というシステムでした」
おかげで急成長を遂げたのが巷にあふれる大手回転寿司チェーンである。
「日本の水産会社が、ノルウェー産のサーモンやサバなど海外で獲れた冷凍魚を買い付けて、それを中国へ持ち込んで加工してもらう。こうした委託加工が発展したことで、寿司ネタの価格が大幅に下がり、安価な回転寿司チェーンが全国に広まったのです」(同)
わずか20年で日中の立場が逆転
鮮魚のみならず野菜・果物など、外食チェーンや加工食品メーカーは、年間を通して同一規格の食材を大量に提供しないといけない。そうした制約の下、輸入食材に頼ることを選択した日本企業からすれば、中国は魅力的な相手だった。消費者にとっても、手軽に寿司を口にできるのは嬉しい限りだったが、その代償は大きかったと言わざるを得ない。
「安くても品質のよい食材を作ってもらうため、日本は中国を含む海外の企業に魚の鮮度の見極め方、切り方からパッケージの方法までを懇切丁寧に教えてしまった。製造のノウハウから何から全てを伝えた代わりに、日本の加工業者の規模は縮小し、中国企業が成長を遂げて原材料の調達までを担うようになりました。もはや日本は中国企業が調達、加工した水産物の一部を買う顧客のうちの1人になっています」(同)
加工技術のみならず市場の価格決定権さえ日本は失いつつある。この20年ほどの間で、日中の立場は逆転してしまったという。回転寿司で人気のマグロ、エンガワ、イカ、穴子、ウナギのみならず、味噌汁の定番であるアサリといった貝類も中国産が席巻している。実際、スーパーの鮮魚売り場でも国産の貝類は希少で高価。安価な中国産が目立つ。
そもそも日本の食料自給率は37%程度で、仮に中国からの輸出がストップすれば影響は甚大である。食の安心安全を揺るがす騒動が絶えないかの国の食材に、いつまで日本は頼り続けていくつもりなのだろうか。
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新潮QUEで配信中の記事【食ビジネス“日中戦争”の舞台裏――外食チェーンや加工食品に使われる意外な「中国産食材」】では、外食チェーンで提供されるメニューやスーパーなどで販売される水産物のみならず、日頃から口にする農産物でも「中国産食材」が国産よりも多用される実態、その具体的な食材名と理由について詳しく報じている。


