高校生のドラフト指名が8年前の半分以下に激減! 「早ければ2、3年で戦力外」現役スカウトが明かす“高卒プロ入り”が減った理由

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「実力を見極めにくくなる」

 高校生のプロ入り減少に、拍車をかける可能性があるのが、高校野球で検討されている「7イニング制」だ。

「7イニングになれば、当然1試合当たりの打席数が減り、選手がアピールできる機会が少なくなります。ピッチャーは3イニング程度で継投するケースが増えるでしょう。スカウトにとっては実力を見極めにくくなりますし、プロ入り後には9イニングの野球に慣れる必要が出てくる。松坂大輔や田中将大のように、高校からプロに入ってすぐ一軍で活躍する選手は、今後さらに少なくなるかもしれませんね」(前出の関東地区担当スカウト)

 日本高野連の検討会議は、2028年から7イニング制を導入することが望ましいとの最終報告をまとめている。ただし、正式な導入は決まっておらず、議論が続いている段階だ。

 仮に実現すれば、選手の負担軽減などが期待される一方、スカウトの評価方法や高校からプロへ進む選手の育成に変化が生じるだろう。高校生の指名減少につながるのか、今後の動向が注目される。

 一方、高校生の指名が減るなかで、興味深い選手が2人いる。

 オリックスが4位で指名した近藤琉唯斗(小樽双葉)と、日本ハム5位の岡本翔斗(香里丘)だ。

 小樽双葉と香里丘は、いずれも甲子園出場経験のない学校である。今年夏の大会では、小樽双葉が南北海道大会準々決勝、香里丘は大阪大会3回戦で敗退した。それでも両投手は、支配下指名を勝ち取っている。

 甲子園常連校ではない高校から、なぜプロが注目する投手が生まれたのか。

「もともと投手は野手に比べて、強豪校以外から良い選手が出てきやすい傾向があります。個人練習でレベルアップできる要素が大きいからだと思いますが、最近はさらに顕著になっていますね。チームの練習だけでなく、外部のトレーナーから指導を受ける選手が増えています。自分で考える力があり、周囲から言われなくても練習に取り組めるのが強みでしょう。今のプロ野球はコーチにやらされる時代ではありません。自分で課題を見つけて成長してきた選手は、プロ入り後に伸びる素地がある。球団側が評価するポイントの一つになっていると思います」(関西地区担当スカウト)

甲子園出場経験のない高校からプロ入りできた理由

 高校生ではないが、同様の成長を遂げた選手がいる。広島が4位で指名した吉川凌平(千葉商科大・投手)だ。

 習志野高校時代は控え投手で、千葉商科大に進学した当時、野球部は千葉県大学野球リーグの2部に所属していた。大学ではアルバイトと野球を両立しながら投球技術や体づくりに取り組み、最速156キロを誇る投手へと成長。ドラフト指名を勝ち取った。

 強豪校で多くの実戦経験を積むことは、プロ入りを目指すうえで大きな強みになる。しかし、所属するチームの知名度や練習環境だけで、選手の将来性が決まるわけではない。

 外部の指導者やトレーナーの力を借りながら、自ら課題を見つけ、成長を続ける。近藤や岡本、吉川の歩みからは、アマチュア野球の選手育成が変わりつつある様子がうかがえる。

 高校生の指名が減る一方、従来とは異なる環境からプロの扉を開く選手が現れている。来年以降、甲子園では聞き慣れない学校から、スカウトをうならせる逸材が登場するかもしれない。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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