「来年もユニフォームを着られると思うなよ」 闘将・星野仙一氏の檄に通じる中日「工藤新監督」訓示の意味 OB投手は「星野さんに負けず劣らずの厳しいメッセージに感じた」

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星野仙一の意識改革

 プロ野球ファンもスポーツメディアも「中日の監督に就任した工藤氏は、チームの意識改革を徹底的に行うに違いない」と注目し、期待している。

 前田氏も中日OBだ。星野仙一氏の“第2期政権”に最初のシーズンから参加。その星野監督も徹底した意識改革を選手に求めたという。

「1995年のオフにトレードで移籍すると、中村武志さん、山本昌さん、立浪和義さんといったベテラン選手が、星野監督の復活に緊張していたのが印象的でした。私はロッテ時代、プレーにはいつも全力を尽くしていたつもりです。とはいえ正直な話をすると、優勝を目指すという気持ちを持つことはできませんでした」(同・前田氏)

 何しろ前田氏がプレーしていた1989年から94年まで、6位と5位がロッテの定位置だったのだ。

「95年はボビー・バレンタイン監督の指揮でチームは2位に躍進しました。とはいえ、翌年から星野監督の元でプレーすると、『本気で優勝を目指している監督だと、これほど勝利にこだわり、負けを嫌うのか』と驚きました。実際、面と向かって『ロッテのような野球をするな!』と怒鳴られたこともあります。そうして僕の意識も変わっていきました」(同・前田氏)

 星野監督は99年にリーグ優勝を果たした。では2016年から25年まで、中日の順位を改めて振り返ってみよう。前田氏が在籍していたロッテと同じように中日も6位と5位が定位置だったことが分かる。

ガムを噛んで談笑する選手

 何しろ中日の選手は「戦う集団ではない」と厳しい評価が下されている。デイリー新潮は10月20日、「ふてくされた態度の選手を、首脳陣が注意しない…『戦う集団ではない』中日で工藤新監督が『主力トレード』敢行の可能性 ソフバ時代には『ドラ1』『2000本打者』を放出の過去も」との記事を配信した。

《ファンの怒りを買ったのが、9月21日にバンテリンドームで行われた最終戦セレモニーだった。下位に沈んだシーズンだったにもかかわらず、高橋周平内野手(32)、土田龍空内野手(23)がガムを噛みながら談笑し、野手主将の岡林勇希外野手(24)もガムを噛んで白い歯を見せていた。》

 前田氏が注目するのは、工藤氏が10月15日に行った中日の選手に対する初めての訓示だ。

「この世界で1年でも長く、プロの世界でやっていくために、自分たちに何が必要なのかっていうのを考えてほしいです」

 前田氏が中日でプレーしていた際、星野監督はよく「来年もユニフォームを着られると思うなよ」と選手に厳しい言葉を浴びせていたという。

 工藤新監督の「長くやっていこう」と星野監督の「来年は保証しない」は正反対のメッセージのような印象を受ける。

注目すべきは根尾昂

 ところが前田氏は「実は根本は同じで、工藤さんも星野さんに負けず劣らず厳しいメッセージを選手に送ったのです」と意外な指摘を行う。

「工藤さんは『長くプレーするにはどうしたらいいか考えましょう』と優しく呼びかけました。一方の星野さんは『来年の保証はしないぞ』と選手に強いプレッシャーをかけました。しかし根本的には同じメッセージなのです。なぜなら工藤さんの訓示には、『大半のプロ野球選手は長くプレーできず、引退に追い込まれる』という意味が込められているからです。工藤さんも結局、『来年の保証はできない』からこそ、『長くプレーするためにはどうしたらいいか考えろ』と選手に宿題を出したのです」

 そこで浮上するのが根尾昂だ。

 後編【工藤監督は「根尾昂」を再生できるか? 「投手として大きな伸びしろがあるとは言いづらい」と中日OBは厳しい指摘…「工藤体制で生存競争は激化し、成績次第では厳しい判断が下される」】では、“未完の大器”である根尾に工藤新監督はどういう姿勢で向かうのか、詳しくお伝えする──。

デイリー新潮編集部

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