トランプ氏の支持率「過去最低水準」に 支持者の投票意欲が激減、批判していた「郵便投票」を持ち上げる迷走…選挙後の混乱は世界経済の新たなリスク

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批判を撤回してまで郵便投票を訴える

 共和党の苦境を尻目に反トランプ派はさらなる攻勢に出ている。17日、全米各地でトランプ政権に抗議するデモが実施された。昨年1月の第2次政権発足以来、4度目だ。

 米メディアによれば、約3000カ所で開かれ、主催者発表で数百万人が参加し、「王はいらない、期日前投票を」と掲げ、中間選挙での投票を促した。

 各地で期日前投票と郵便投票が始まっているが、民主党支持者の投票意欲は高いが共和党支持者の出足は鈍いという分析が出ている。

 危機感を募らせるトランプ氏はここに来て、「期日前投票、郵便投票、または選挙当日の直接投票を利用してほしい」と支持者に訴えかけるようになった。

 トランプ氏は民主党支持者の利用傾向が高い郵便投票を「不正の温床」と批判し、規制強化の大統領令に署名した。だが、連邦地裁がこの大統領令に基づく米郵政公社(USPS)の新規則の施行差し止める仮命令を出し、9月には連邦最高裁がその命令を維持したため、試みが頓挫した経緯がある。

 自身の批判を撤回してまで支持者に郵便投票を訴える姿をみるにつけ、トランプ氏のレームダック化が既に始まっているのではないかと思えてならない。

トランプ氏が再び選挙不正を主張する可能性

 筆者が注目しているのは、米国で選挙への信頼が低下していることだ。

 ロイターは15日、上院選の13の激戦区に立候補している候補者のうち、勝敗にかかわらず選挙結果を受け入れると回答したのは半数強にとどまったと報じた。2020年の大統領選の敗北を認めようとしないトランプ氏の政治姿勢が、他の政治家に波及し始めていることの証左だろう。

 選挙が無事に実施できるかどうかも心配だ。同日のロイター報道によれば、中間選挙を前に米連邦捜査局(FBI)とUSPSの法執行部門は、州の選挙当局者や議員事務所などに送られた不審な郵便物について捜査していることを明らかにした。

 中間選挙で敗北した場合、トランプ氏が再び選挙不正を主張する可能性もある。米紙ニューヨーク・タイムズは15日、選挙管理担当者の間でトランプ政権が中間選挙の結果に異議を唱えるのではないかとの懸念が広がっていると報じた。

 これに備え、民主党は監視体制を強化する準備を進めているが、中間選挙後の混乱を回避できる保証はない。

米国株が大幅下落なら世界経済に打撃

 中間選挙を巡る混乱は、好調さを維持する米国経済にとっても打撃だ。

 米国の株式市場関係者の間には、“中間選挙が過ぎれば買い”という経験則がある。だが、今回は違うとのため息も聞こえてくる。

 米国経済を牽引してきた人工知能(AI)関連分野に陰りが見えているからだ。

 民主党が議会の多数派となれば、AI関連投資にブレーキがかかり、米国経済がリセッション(景気後退)入りするとの指摘が出ているほどだ。

 その上、政治が混乱する事態となれば、米国株の大幅下落リスクが高まることは間違いないだろう。米国株の下落は、日本をはじめ世界経済にとっても大きなマイナス材料となる。

 中間選挙が平穏裏に終わることを祈るばかりだ。同盟国である米国の動向は日本の行く末を大きく左右する。引き続き高い関心を持って注視すべきだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。2026年3月末日で経産省を退職。

デイリー新潮編集部

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