大ヒット「VIVANT」の裏で何が起きているのか 福澤氏の助監督骨折問題、拷問シーンで「中国」設定のなぜ

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設定に問題は?

 福澤氏は富士フイルムを経て1989年に同局へ中途入社した。さっそくドラマ制作を開始した。故・小山内美江子さんが脚本を書いていた「3年B組金八先生」(1979~2011年)の制作を志望していたが、1995年に願いはかなう。

 だが、小山内さんが脚本を書いていたのは2004年まで。降板したからだ。局内の共通認識では、ディレクターの福澤氏と小山内さんの意見が対立したからだとされている。どちらも信念を曲げない人だという。

 小山内さんは等身大の中学生の実態を描くことを信条としていた。福澤氏側が描いた中学生の薬物乱用の描写が、小山内さんには非現実的に見えた。これが決別の直接的理由だという。そもそも2人は考え方が合わなかったようだ。

 小山内さんは2005年、平和と社会問題を考えるウェブメディア「マガジン9」の創刊時に発起人の1人となった。

 福澤氏は1998年に自ら企画し、演出した単発ドラマが、局内でちょっとした話題になった。和久井映見(55)主演で、特攻隊の悲劇を描いた終戦特別企画「二十六夜参り-特攻花・学術名不詳…花ことばは『生きなさい』」である。当時の福澤氏は30代半ばと若く、「金八先生」とトレンディドラマの人だったから、同僚たちには意外に映ったのだ。

 一方、放送中の「VIVANT」シーズン2の設定について、SNS上で批判の声が上がっている。主人公で自衛隊の秘密組織・別班の乃木憂助(堺雅人)たちが、中国の秘密諜報組織・シンシーと戦っていることと、ともに残虐であることを問題視している。

「拷問シーン、中国が残酷という刷り込み」(X、10月12日)、「嫌なら観るな!」(同13日)。相当数の投稿がある。

 10月4日放送の第19回では、放送前に残虐なシーンがあることが告知された。その後、シンシーに捕らえられていた別班員・和田貢(平山祐介)が指を切断され、拷問を受け、動かなくなった。同11日の第20回では、乃木たちがシンシーの工作員を次々と射殺した。

 憲法21条が「表現の自由」を保障している上、フィクションなのだから、良し悪しを一概に判断することはできない。それでも、中国を「バルカ共和国」のような架空の国名に変えるなど、工夫もできたように思う。

 海外はどんな反応を見せるのか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社。放送担当記者・専門委員として、1994年のNHK連続テレビ小説「春よ、来い」のヒロイン途中交代や、1999年のフジテレビ「愛する二人別れる二人」のやらせ問題などを特報する。2015年に毎日新聞出版へ入社し、サンデー毎日編集次長を務める。編集者としては「小池百合子都知事の真実」などを担当した。2019年に独立。元・放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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