中国が高市首相を“呼び捨て”に込めた「2つのメッセージ」…習近平氏の思惑と、今後の日中関係を左右する「11月開催の国際会議」
前編【中国外務省が「高市早苗」と呼び捨てにした理由…トランプ大統領が「習近平」国家主席を厚遇したことで「日本との関係改善を急ぐ必要がなくなった」】からの続き──。中国外務省の郭嘉昆・副報道局長は9月30日の記者会見で「高市早苗」と呼び捨てにした。これに日本の外務省は強く抗議し、呼び捨てをしないよう申し入れを行った。中国政府による前代未聞の“無礼”は高市首相の問題としてだけではなく、前外務大臣の岩屋毅・衆議院議員が9月27日から30日まで訪中団を率いて北京を訪れたことも合わせて考える必要があるという。(前後編の後編)
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『ピークアウトする中国「殺到する経済」と「合理的バブル」の限界』(文春新書:梶谷懐氏との共著)などの著書で知られるジャーナリスト・千葉大学客員教授・明治大学客員研究員の高口康太氏は、中国を取材して「月刊文藝春秋」や「日経クロストレンド」に寄稿するほか、データで中国を読み解くニュースサイト「The Tokyo Desk on china」(ザ・トーキョー・デスク・オン・チャイナ)」を運営している。
高口氏は「呼び捨てが日本にとって無礼な態度なのは当然です。一方で、私たち日本人が描く外交官のイメージと、中国の外交官は少々異なることに注意する必要があるかもしれません」と言う。
「日本人にとって外交官はスマートで、相手国に充分な敬意を払い、平和裏に交渉を進めるといったイメージがあるのではないでしょうか。ところが、かつての社会主義国家は他国を批判する際には相当に攻撃的な表現を使ったものです。そうした伝統が最も色濃く残っているのが北朝鮮でしょう。中国にも戦闘的・攻撃的な外交姿勢を是とする『戦狼外交』という言葉があります。意図的に威嚇や恫喝、暴言を吐く傾向があり、これは無視するのが一番の得策です」
その一方で高市首相を呼び捨てにしたことで、ある種の“メッセージ”を日本に伝えた可能性もあるという。
呼び捨ての理由
「私は昨年10月に米中関係が改善されたことで、習近平氏は『急いで日中関係を改善する必要はない』と判断したと見ています。その後に日中関係は急速に悪化しましたが、今年6月には河野洋平・元衆議院議長が訪中する予定でした。しかし河野氏が死去され、橋本岳・衆議院議員が代理として中国を訪問しました。その上で岩屋氏が訪中団を率いて北京を訪れたわけです。こうした流れを受けて日中関係の改善を期待する声も出る中、中国外務省は高市氏を呼び捨てにして水を差しました。この理由について2つの可能性が指摘できると思います。1つ目は『確かに我々は訪中団を厚遇したが、まだ両国の関係を改善するつもりはない』と釘を指した可能性です。また11月に中国でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれます。2つ目は『わが国はホスト役を務めるが、日中首脳会談を実施するつもりはない』という意志を伝えた可能性です」(同・高口氏)
高口氏は「そのAPECですが、本当に数分間の立ち話でも構いません。高市氏は何とかして習氏と言葉を交わしてほしいと願っています」と言う。
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