芸能人の「タトゥー」はなぜ炎上するのか 40年前の「アグネス論争」から紅白、ミスコンまで…変わる社会の価値観

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論争を振り返る

「アグネス論争」から40年が過ぎた。アグネス・チャン(71)の育児と仕事をめぐり、1980年代後半に起きた論争だった。芸能人をめぐる論争は、今も絶えない。論争は社会に何をもたらすのか。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

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 芸能人は論争の的になりやすい。存在が広く知られ、身近に思えるからだ。テレビ局も同じである。たびたび論争の渦中に置かれる。

 芸能人をめぐる論争を無意味と見る向きもあるが、果たしてそうだろうか。論争には、対立している争点を浮き彫りにする力がある。「アグネス論争」が、まさにそうだった。

 アグネス論争では、誰の意見が正しかったのか。それは今も分からない。そもそも、正答が出る問題は大きな論争にならない。

 それでもアグネス論争が契機となり、社会全体が「女性と仕事」や「育児環境の現状」などを考えたのは間違いない。論争の中心が芸能人でなかったら、こうはいかなかったのではないか。

 アグネスは1986年に出産し、翌87年に仕事を再開した。乳児を連れて、テレビ番組の収録などに参加するようになった。著名人を含めた女性たちから、応援や共鳴の声が上がった。

 だが、その後は反論も相次いだ。文化人を含む女性たちから「職場に子供を連れて来るのはプロ意識に欠ける」といった批判が出た。

 論争は終わらなかった。今度は社会学者たちが「子供のいる女性に対し、子供がいないかのように働くことを求めるのはおかしい」などと発言した。

 今になって思うと、論争が熱を帯びた背景には、当時の社会状況がある。働く既婚女性が増えていた。アグネスの出産と同じ1986年には男女雇用機会均等法が施行された。それでいて、働く女性の育児環境は整っていなかった。

 その後もさまざまな意見が出た。「そもそも子育てを母親1人にやらせるという発想がおかしい」。争点は子育ての分業にまで広がった。

 アグネス論争は、国が育児休業の必要性をより真剣に考える一因にもなった。論争後の1991年には育児休業法が成立する。企業内保育所の整備を促すことにもつながった。

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