芸能人の「タトゥー」はなぜ炎上するのか 40年前の「アグネス論争」から紅白、ミスコンまで…変わる社会の価値観

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紅白とミスコン

 タトゥー論争もアグネス論争と同じく、何が正しい答えなのかは分からない。それでも、タトゥーについて広く考えられるきっかけとなったのは確かだ。この論争で問われている本質は、実のところ「個人の自由と、他人の感情のバランスをどう取るか」ではないだろうか。

 近年、起きた別の論争は「出演者を性別で分ける紅白歌合戦の是非」。発端は、星野源(45)が2018年の紅白において「紅組も白組も性別関係なく、混合チームでいけばいいと思う」と発言したことだった。

 星野を支持する声が目立った。「星野源さんやっぱりいいなあ」(X、2018年12月31日)、「LGBTQが広く認知されているこの時代、もう性別で組分けするのはさすがに無理がある」(同22年12月27日)。

 反対派はごくわずか。「紅組白組は残していいですけど、男女で競うというのもう今どき流行らない」(同24年12月31日)という意見もあった。

 興味深いのは、大学のミスコン廃止の流れと時期が重なっていること。上智大は2019年をもって「ミス・ミスターソフィアコンテスト」を廃止した。翌20年から、性別などの違いにとらわれない「ソフィアンズコンテスト」を始めた。

 男女を問わない参加者たちが、人柄や想像力、実行力を競い合う。同大の建学理念である「他者のために、他者とともに」を体現する学生の選出を目標とする。

 法政大は2019年、大学側が学生に対し、「学内でのミスコン開催や施設利用を一切認めない」と通達した。ミスコンが同大の掲げる「多様性の尊重」という理念に反することなどが理由だ。性別による区別そのものを問題視する視点もある。

 芸能界の論争が社会と無関係であることはない。時代や社会を映し出す鏡とすら言える。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社。放送担当記者・専門委員として、1994年のNHK連続テレビ小説「春よ、来い」のヒロイン途中交代や、1999年のフジテレビ「愛する二人別れる二人」のやらせ問題などを特報する。2015年に毎日新聞出版へ入社し、サンデー毎日編集次長を務める。編集者としては「小池百合子都知事の真実」などを担当した。2019年に独立。元・放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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