ウクライナ「超・長距離ドローン」がプーチン大統領を苦しめる理由…広大な国土というロシアの防空メリットがむしろ“国防の障害”に
前編【プーチン大統領を震撼させた「北極圏のガス施設」“空爆”…進化するウクライナのドローン攻撃に「厳冬期は停戦状態」というロシア軍の常識が崩壊か】からの続き──。意外に思われるかもしれないが、もともとロシア軍は西側諸国と比べて国内防空網の構築に力を入れてこなかったという。なぜなら、その必要がなかったからだ。ロシアの領土はあまりにも広いため、ヨーロッパ各国の戦闘機や爆撃機の多くは航続距離が足りず、ロシア全土が空襲される可能性は低かった。(前後編の後編)
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軍事ジャーナリストは「例えば第2次世界大戦で有数の激戦となった『スターリングラードの戦い』でも、基本はドイツ陸軍とソ連陸軍による地上戦に終始しました」と言う。
「ドイツ空軍の長距離爆撃機でも航続距離が足りなかったからです。冷戦時代になってもロシアはNATO加盟国などとは異なり、防空システムの整備に多額の予算を割く必要がありませんでした。首都のモスクワや西側に位置する大都市のサンクトペテルブルクなどは防空網を構築しても、他は手薄でも大丈夫だったのです。ところがウクライナが航続距離3300キロという超・長距離ドローンを開発し、9月9日には北西シベリア地帯のヤマロ・ネネツ自治管区にあるガス処理施設を攻撃して被害を与えました。ヤマロ・ネネツ自治管区は半分が北極圏に位置しています。これまでロシア軍はウクライナと北極圏の距離を考えて、ガス関連施設は“絶対安全圏”だと考えていたはずです。それが根底から覆されたのですから、プーチン大統領は強いショックを受けたのではないでしょうか」
これまでロシアは広い国土という“防空メリット”を持っていた。ところが、今から急いで対ドローン防空網を構築しようとしても、今度は国土の広さが障害になる。
可視化された「ロシアの無力」
軍事ジャーナリストは「ロシアの国力を支えてきたのは、まさに広大な領土です」と言う。
「豊かな穀倉地帯と豊富な地下資源を背景に、国土の広さを前提に防衛戦略を構築してきました。ところが最大の長所はウクライナが超・長距離ドローンを開発したことで短所に変わってしまったのです。これまで手薄でも心配なかった西シベリアの産業資源地帯、ウラル山脈東側から北極圏などでも防空システムを構築する必要がありますが、これほど広大な国土を守るのは不可能だと言えます。しかもレーダー網が整備されているモスクワやサンクトペテルブルクでもロシアはドローンを発見するのに苦労しています。ドローンは戦闘機や爆撃機に比べると小さく、機体の形状も多種多様であり、なおかつ低高度を多数のドローンが飛びます。そのためレーダースクリーンには多数の目標が表示され、中には地上を走るトラックなどを誤認することもあります。これではどの目標を優先的に迎撃すべきか判断できません。ウクライナ軍の中・長距離と超・長距離ドローンの攻撃にロシアは無力だということが可視化されてしまったのです」(同・軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリストは「ウクライナもロシアも互いに中・長距離ドローンを使った空爆を繰り返しています。しかし、その“戦果”には明確な違いがあります」と言う。
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