「優勝争いに絡む」は横綱の責任…「大の里」は6場所ぶりVでひと皮剥ける 十両昇格「竜鳳」と史上最強の新弟子にぜひ注目を【音羽山親方の秋場所総括】

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霧島は「綱」を意識し過ぎた

――さて、「綱取り」を期待された霧島関が、まさかの失速。残念ながら綱取りは白紙に戻ってしまいました。

音羽山:場所前から、本人の意気込みは相当なものでした。「綱」を意識し過ぎて、冷静さを失っているように思いましたね。特に6日目の義ノ富士戦、上手投げで敗れた相撲はよくなかった。これで、緊張感が切れてしまったのか、中盤、平幕力士に3連敗。

 以前からそうなのですが、霧島は(立てた目標の)可能性が薄くなってくると、諦めてしまうところがあるんです。

 秋場所、「大関獲り」がかかっていた熱海富士も同じような部分があります。10日目に勝ち越したというのに、その後5連敗で結局8勝7敗。これも、「神様からの宿題」です。前回も言いましたが、熱海富士は今回、大関を逃したものの、いつかは上がれる逸材です。焦らずに、稽古に精進してほしいですね。

弟子・竜鳳は「持ってる」感じ

――さて、9月30日の番付編成会議で、弟子の竜鳳さんが、十両昇進を決めました。入門してまだ1年。19歳の若さですから、楽しみですね!

音羽山:ありがとうございます! 竜鳳は入門した時から実力がありましたから、そう遠くない時期に十両に上がるのではないかと思っていました。でも、幕下4枚目の4番で昇進したのですから、運もよかった。名古屋場所は幕下17枚目ですから、なんか「持ってる」感じすらします(笑)。

 竜鳳のよさは、相撲の反応がいいところ。いろいろな相撲が取れる器用なところがありますが、身長が低い(175センチ)ので、相手の中に入ってから組む相撲を取ったほうが、星は伸びるでしょうね。

「史上最強の新弟子」旭富士の実力

――なるほど。そして、同じく新十両を決めたのが、「史上最強の新弟子」と騒がれた旭富士さんです。話題を集めた入門からの25連勝や、序ノ口からわずか6場所での十両昇進は期待通りでもあるのですが……。

音羽山:前師匠(現・宮城野親方=元横綱・旭富士)の四股名を継いだのだから、その期待の高さがわかりますよね。彼は、モンゴルから日本の高校へ相撲留学。卒業後は伊勢ヶ濱部屋に入門したものの、同じ部屋にモンゴル人の照ノ富士(現・伊勢ヶ濱親方)がいたため、新弟子検査を受けるまで4年以上かかりました(編集部注:1部屋の外国人力士枠は1人のため)。

 その間は、部屋の力士たちと稽古をしていて、今では熱海富士と五分くらいの相撲を取ると聞いていますから、実力のほどがわかります。十両は軽く通過して、すぐにでも幕内の土俵で活躍する予感がします。

 竜鳳にとっても、こういう「大物」と一緒に十両に上がって、これから切磋琢磨していくというのは、願ってもないチャンスです。2人の若手力士の今後にも、ぜひ注目してみてください。

武田葉月
ノンフィクションライター。山形県山形市出身、清泉女子大学文学部卒業。出版社勤務を経て、現職へ。大相撲、アマチュア相撲、世界相撲など、おもに相撲の世界を中心に取材、執筆中。著書に、『横綱』『ドルジ 横綱朝青龍の素顔』(以上、講談社)、『インタビュー ザ・大関』『寺尾常史』『大相撲 想い出の名力士』(以上、双葉社)などがある。

デイリー新潮編集部

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