「東京チカラめし」最後の一店舗が残る“意外すぎる場所” クセになる「焼き牛丼」は健在か
目の前に出てきたのは、ご飯の上に焼いた牛肉が7~8切れ(目測)乗っている丼。食してみると牛肉自体の味つけに、さらに甘辛いタレがかけられているから、濃厚な味わいでご飯が進む。ここまで聞いただけでピンとくる方も多いだろう。そう、一世を風靡した「東京チカラめし」の看板商品“元祖焼き牛丼”である。もはや伝説的ともいえる爆発的な店舗の増殖を見せた新興の牛丼チェーンが、現在どうなっているのか。ジェットコースターに乗っていたような激しいアップダウンの軌跡とは──。
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【写真を見る】見るだけでよだれが…「東京チカラめし食堂」のガッツリメニュー
「東京から日本にチカラを」
甚大な被害をもたらした東日本大震災を機に、「東京から日本にチカラを」との想いから命名されたブランドが「東京チカラめし」だった。 従来の牛丼チェーンのように肉を「煮る」のではなく、「焼く」スタイルで提供。2011 年に東京・池袋に 1 号店を出店すると、クセになる味が爆発的な人気を呼び、わずか 2 年後の 13 年には全国で 134 店舗を展開するまでに急拡大。が、ピークを迎えると同時に、次々と店舗の閉店が始まった。なんと翌 14 年には、60 超の店舗の大量売却に踏み切る。拡大から収縮へ転じるスピードは、急坂を転げ落ちるようだった。
経営改善が仇に
外食ビジネスアナリストの三輪大輔氏は言う。
「東京チカラめしは当初から“焼き牛丼”という分かりやすい新規性があり、低価格(オープン記念価格、並盛 280 円)でもあったため、短期間で高い集客力を獲得。その勢いでオペレーションの仕組みが十分に成熟する前に、直営店を中心として一気に出店を進めました。さらに焼き牛丼は注文後に肉を焼くため、一般的な牛丼チェーンと比べても調理工程が多く、店舗ごとの技量によって品質に差が出やすい。急拡大によって人材育成や店舗管理が追いつかなくなり、さまざまな面でばらつきが生じたと考えられます。結果、ネガティブな評価も広がり、客離れにつながりました。不採算店舗の閉鎖自体は経営改善策として普通のことですが、外食ブランドの場合は、大量閉店によってイメージまで毀損することもありますから」
現在の「東京チカラめし」
記事冒頭の“焼き牛丼”(並盛 800 円)が提供された場所は、日本武道館を見上げる東京・九段下駅から至近の「東京チカラめし食堂」。東京法務局などが入る「九段第2合同庁舎」内地下一階の食堂(一般も利用できる)であり、24 年 5 月から始まったここが最後の店舗となっている(大阪にフランチャイズ店が一軒残る)。集客が見込める繁華街の路面店などではなく、公共機関の地下に入っているのだから、意外と言えば意外な場所だ。
「東京チカラめし」を運営する株式会社 SANKO MARKETING FOODS によると、
「コロナ禍以降、官公庁や公共施設等における食堂の受託運営事業に取り組んでおりまして、この“東京チカラめし食堂”もその一環で、焼き牛丼や定食を提供しています。現在、直営店舗はこちらだけとなりますが、当社にとって“東京チカラめし”は大事なブランド資産。これを大切に育てながら、原材料価格や人件費、物流費等の上昇など外食産業をとりまく状況を踏まえて、さまざまな形での展開可能性を検討してまいります」
たしかに激しい開店と閉店の話題が続いたせいか、良くも悪くも「東京チカラめし」の知名度は圧倒的に高い。今度こそ「九段下から日本にチカラを」と行くかどうか。
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