親会社が「赤字173億円」で“ジャングリア沖縄”の正念場…つなぎ融資「30億円」で“資金不足リスク”は解消できるか…知られざる“半官半民”の特殊な実態

ビジネス

  • ブックマーク

「政治的な看板」となったテーマパーク

 決算の内訳が公表されていない以上、営業から現金が生まれているかどうかを直接に判定することはできない。だが、外から見える事実が一つある。

 9月25日、日本経済新聞は、沖縄公庫がさらに30億円のつなぎ融資を行う方向で調整していると報じた。4月にも、公庫などによる計20億円の追加融資が報じられている。30億円はまだ実行が確定した資金ではない。それでも、開業から一年あまりのあいだに運転資金の追加調達が繰り返されているという事実自体は、営業から生まれる現金が必要額に届いていないことを示す材料になる。

 これは帳簿を見ずに言える推論として、おそらく最も確かなものだ。そして公的資金の観点からは、建設段階の支援よりも重い意味を持つ。計画どおりに進まなかった後の運転資金にまで公庫が関わるのであれば、その判断が何を根拠にしているのかが直接に問われるからである。

 沖縄における大型テーマパーク構想は、以前から政治との接点を持っていた。2015年、USJのグレン・ガンペルCEO(当時)と、株式会社刀CEOの森岡毅氏は、沖縄への進出構想を菅義偉官房長官に説明した。候補地は国営海洋博公園の周辺である。菅氏は政府として応援する考えを示し、翁長雄志知事も期待を表明した。辺野古の問題では激しく対立した官邸と県庁が、この計画にはともに前向きだったのである。

 同年暮れには、佐喜眞淳宜野湾市長が市長選を控え、返還後の普天間飛行場跡地にディズニーリゾート関連施設を誘致したいと官邸に要請した。運営会社オリエンタルランドとの合意書はなく、結局この案は実現しなかった。先に掲げたUSJの計画も、親会社の交代によって白紙となった。

 場所も事業主体も異なる二つの案だが、同じ年のうちに、同じ官房長官が、ともに前向きな姿勢を示している。「テーマパーク」が、沖縄振興の将来像を手短に示す政治的な看板になっていたことは、ここからはっきりと読み取れる。

 森岡氏が率いる株式会社刀は、その後、オリオン嵐山ゴルフ倶楽部の跡地にパークを造る計画を進め、2018年にJEを設立、2025年7月にジャングリアを開業した。以前のUSJ計画と現在のジャングリアは同じものではないし、官邸がこの計画にお墨付きを与えたとする資料を、筆者は確認できていない。

次ページ:クールジャパン機構からの80億円

前へ 1 2 3 4 次へ

[3/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。