「中道」の交付金受領問題だけではない 野党壊滅を招いた張本人「野田佳彦」こそ責任を取るべきではないか
事実上の解党後も交付金を受領
今年1月、鳴り物入りで結党された中道改革連合が、わずか7カ月あまりで分裂し、事実上、「解党」してしまった。ところが、その後も当面のあいだ、党を存続させて渡辺創衆院議員が1人残り、政党交付金の未交付分を受け取るというので、批判の集中砲火を浴びている。
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政党交付金は議員数と得票数をもとに計算され、中道が今年受けとる総額は23億3881万円だった。このうち約11億7000万円が未交付なので、党が形式的に存続して残りを受領し、前回の総選挙に関する支払いに充てるのだという。
そのことが違法なわけではない。すでに確定していた金額の残りを受領するだけ、という言い方もできなくはない。それでも一般の感覚からは乖離している。年金受給者が死んだら、当然ながら翌月から年金は受け取れない。振り込まれていたら返還しなければならない。年金を当てに借金をしていても、死んだら年金で返すことはできない。知人から資金援助を受けて起業したが数カ月で倒産した、という場合はどうだろうか。仮に1月に1億円の出資を受け、残り1億円は9月に出資してもらうはずだったが、8月に倒産したとしよう。倒産したが、債務を返済する必要があるから、残りの1億円を出資してほしい、という要求が通用するわけがないことは、だれだってわかる。
中道はすでに死んだ人、倒産した企業に相当する。それを形式的に生き残っていることにして、借金返済のために税金を使おうとしている。国民が納得するはずがない。政権与党が同じことをしたら、中道の議員たちはむきになって批判したのではないだろうか。小川淳也代表は「分裂」を決めた際の会見で、「(先の総選挙のために前借した)10億円あまりを踏み倒していいのか。答えはノーだ」といった。もちろん踏み倒していいわけがない。だから責任をもって、自分たちの力で返済すべきではないのか。
だが、こう書くと、新党「民主改革の会」代表になった小川前代表や、1人残る渡辺議員が矢面に立つことになるが、そもそも、この事態を招いた張本人にして責任者は、立憲民主党の前代表で中道結党を決め、最初の共同代表を務めた野田佳彦元総理である。ところがその野田氏、中道が「分裂」を決めたとき、記者団の質問に「ノーコメント」とだけ答えて逃げた。これほど無責任な政治家には、なかなか出会えるものではない。
選挙のために安易なポピュリズムに走った
自民党と袂を分かった公明党と立憲民主党が合流して中道改革連合を結党した、というニュースには、それなりにインパクトがあった。なにしろ、両党から現職衆院議員が160人以上も参加したのである。その時点では、参院議員と地方議員もいずれ合流することが前提とされていた。政権交代の可能性はともかく、高市政権にモノを申せる大勢力が誕生したことに対しては、前向きな評価もそれなりにあった。少なくとも、国会において政権を監視する機能が向上する、という期待を持つことはできた。
ところが、政権公約を発表した時点で、中道は自滅した。物価高対策を公約の柱に据えて「生活者ファースト」を掲げながら、食料品の消費税率を恒久的にゼロにする、と主張したのである。物価高の最大の原因は円安だ。しかも、日本の財政状況への懸念から、金融市場が円を売る傾向が強まっていた。だから、物価上昇を止めたければ、財政への不安を払拭して円高に導かなければならないはずだった。それなのに、食料品への消費税は廃止すると訴えて、円がさらに売られ、物価がますます高くなる状況をつくってしまった。
野田佳彦氏といえば総理だった2012年、社会保障と税の一体改革として、消費税率を現行の10%に引き上げた当事者である。社会保障の安定財源として、消費税の重要性をだれよりも認識している政治家であるはずだった。その一方で、消費税率引き上げ法案の成立にともなう総選挙で、民主党の歴史的惨敗と政権喪失を経験している。それだけに、消費税がどれだけ重要であろうと、選挙に勝つためには減税を主張したほうがいいという、きわめて安易なポピュリズムに走ったのかもしれない。
ちなみに、筆者は「食料品の消費税率を恒久的にゼロに」という公約を聞いて、中道への期待の一切を失った。恐ろしい勢いで少子高齢化が進み、社会保障費が急増しようとしているいま、食品にかぎっても消費税率を恒久的にゼロにするなど、どう考えても正気の沙汰ではない。野田佳彦とは、選挙のためには国民の将来をも売る男だったのである。
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