「あっちは部屋で、僕はホテル」46歳不倫夫が悩む“2番手”扱い ある日、彼女のマンションから出てきたのは…
そして案の定…
誘えば彼女は断らなかった。彼女は離婚したことで実家の親から出入り禁止になっていると語った。親の反対を押し切った結婚だったためだ。親身になってくれる友だちもいないと彼女は言った。
「僕がいるよと思わず言いました。でも彼女は『芳信さんには、素敵な家庭があるでしょう。私なんかにかまっていていいの?』と。その顔がまたちょっと寂しそうだったから、僕はきみを元気づけるためにいるんだと威勢のいいことを言ってしまいました」
そんな甘い戯れ言のようなやりとりをしていたら、男女の関係になるのは目に見えている。はたから見ればそう思えるが、当事者はこういうとき、その危ない沼の縁にいることを認識していないものだ。
「僕はあくまでも友だちのつもりだったけど……。彼女はそうは思っていなかったのか、帰り際にぴったり体を寄せてきました。それを振り払えるほど僕は冷たくない。そのままホテルへ行ってしまいました。当然のなりゆきという感じでしたね」
自分の中の男が全開に
奥さんに悪いわと言いながら、その言葉に酔うように彼女は燃えたという。彼もそんな彼女に乗せられて、自らの「男」を解放した。結婚してから他の女性と関係をもつのは初めてだった。
「妻に悪いという気持ちはそのときはなかった。自分の中の男が全開となって、暴れまくりましたね。彼女が僕を暴れさせた。男としてこんな力がまだあったのかと自分でもびっくりしました。美結とは同志になっていたし、家族だからそういう色っぽい関係にはなりようがなかった。でも妻とはそういうことがないほうが気楽だったんですよ」
菊乃さんとの関係は、彼に新たなエネルギーをもたらした。それまでとは違い、電車の窓から見る景色さえ色が鮮明になった。恋をしている自分を自覚した。心が浮き立つような毎日だった。
「でも、既婚者が恋をすると、いろいろめんどうなことが起こる。遅くなるたび妻に言い訳したり、週末の子どもとの約束を破ったり。でも菊乃と一緒にいたい。その気持ちが強すぎて自分を抑制することができなかった。ちょっとこれから忙しくなりそうなんだと美結や子どもたちにも言って納得してもらいましたが、そのときの僕はパパではなく、ただの男としての本能が全開でした」
「部屋に行ってみたい」を拒まれて
自分に家庭がある分、菊乃さんとの関係においても分が悪いような気がしていた。自分と会えないとき、菊乃が他の男と会っているのではないかと疑惑を抱いては彼女を責めた。菊乃さんは泣きながら「私にはあなたしかいないのに」と燃えていた。
「菊乃とは食事をしてからホテルへ行くのがパターンになっていました。あるとき『きみの部屋に行ってみたい』と言ったのですが、『狭いし、片づいていないからダメ』と軽くいなされました。『あなたを部屋に入れたら、帰っていくあなたを見送らなくちゃいけない。そんなつらいことは嫌』とも言っていた。そんな彼女が愛おしくてたまらなかった」
彼女との関係に未来はない。それがわかっているから彼も燃えた。いくら求めあっても足りなかった。毎日会いたかったが、そんなことをしたら家庭は壊れる。のめり込みそうになっては自らに冷や水を浴びせるようにコントロールした。
彼女に会うために仕事もがんばった。自分でも生き生きしているとわかるほど躍動していた。
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