「優しいパパ」が不倫に走るまで 妻とはデキ婚、結婚をためらったが…築いた3人の子との幸せな日常
【前後編の前編/後編を読む】「あっちは部屋で、僕はホテル」46歳不倫夫が悩む“2番手”扱い ある日、彼女のマンションから出てきたのは…
女性が不倫をしたとき、「女である自分に目覚めた」あるいは「目覚めさせられた」と言うことが多い。つまり、結婚生活の中で自分が女であることを意識する時間はほとんどないのだ。母であり妻であり、職業人であり、地域の社会人ではあるが、「女」であることが欠落している。そこに寂しさを覚えているときに、女であることを思い出させてくれる「男」が現れて恋に落ちる。
【後編を読む】「あっちは部屋で、僕はホテル」46歳不倫夫が悩む“2番手”扱い ある日、彼女のマンションから出てきたのは…
そしてそれは男性にもまったく同じことが言える。かつて男性たちはそうした発言をしてこなかった。男が恋をするなどとは沽券にかけても言えなかったのだろう。だが、ここ10年ほどは「恋をしている自分が、ただの男であることがうれしい」とまで話すようになっている。
妹尾芳信さん(46歳・仮名=以下同)は、「パパである自分に誇りをもっている」という。パパでいることが楽しいし、子どもと同じ目線で遊んでいると妻にはよく言われるがそれでいいとも思っていると饒舌に語る。
31歳で結婚した芳信さんには、15歳の男の子、12歳と8歳の女の子がいる。
「独身時代が楽しかったので、まだまだ遊んでいたかったんです。だから飲み会で知り合って28歳のころからつきあっていた美結が妊娠したときはまいったなと一瞬、思いました。美結は『困った顔してるね』と見抜いてきたので、そんなことないよと必死で言って。3歳年下なのに彼女は鋭いんですよ。『結婚しなくてもいいよ、私は産んで育てるから』とあっさり言われて、それじゃオレの立場はどうなるんだよと思いました」
“弟”の大ちゃん
パパになるイメージがつかめなかったのだが、そういえばと彼は子どものころのことを思い出した。とある地方都市に生まれ育った芳信さんはひとりっ子だったのだが、3歳のころ父親が子犬をもらってきた。芳信さんは子犬を「弟」と認識したらしく、なにくれとなくめんどうを見ていたと両親から聞かされた。
「その後の記憶ははっきりしているんです。犬には大ちゃんという名前をつけ、彼と別れるのが嫌でよく幼稚園をサボりました。誰よりも僕のことがわかっている弟だから、一緒にいると楽しくてたまらなかった」
大ちゃんは彼が高校を卒業するまで生きた。大学へ行くために彼が家を離れることがわかっているかのようだった。
「急死だったんですよ。老いてはいたけど元気だったのに。上京する3日前に大ちゃんを抱きしめていたら、コトッと死んでしまった。彼は僕の弟であり、僕の子どもであり、僕を常に勇気づけてくれる親友でもあった。不謹慎かもしれないけど、子どもとのつきあいも、そんな感じでいけたらいいなと思いました。それを美結に言ったら、『犬と子どもを一緒にするなんて』と言いつつ、『わかるよ。私なんて反抗期の一時期、親ともきょうだいとも口をきかなかった。話していたのはミーちゃんという猫だけ。ミーちゃんは私とは会話が成立していたから』と笑っていた。そういうところで美結とは気が合いましたね。人に言ったら誤解を招くような話をしてもわかってもらえる。一瞬、ここで結婚して後悔しないか、あとでもっと好きな人と出会ったらどうするんだと自問自答したんですが、理解しあえるという点では美結以上の女性はいないのではないかと思いました」
[1/3ページ]


