約11億円が“未払い”の選手も…「リブゴルフ」が連邦破産法11条申請 再建のカギを握るのは債権者となった選手たちの決断

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新生リブゴルフ「LIV 2.0」はどうなる

 莫大な未払い金を抱える選手たちに「もう一度、リブゴルフを信じて、再建支援契約にサインしてほしい」と頼み込み、頷いてもらうことは、かなりの難関である。だが、この難関を期限内にクリアしない限り、BCパートナーズなどから再建資金の提供を受けることはできない。

 オニールCEOは、これまでのリブゴルフを「LIV 1.0」、これから目指す新生リブゴルフを「LIV 2.0」と呼んでいる。だが、選手たちに頷いてもらおうとしている内容は、これまで「LIV 1.0」と結んでいた既存の複数年契約を一旦解除し、「LIV 2.0」と新たな契約を結んでほしいというものである。

 そして、選手たちを「LIV 2.0」の過半数株主とし、選手たちによるオーナーシップ・モデルを実現しての再出発を試みている。

 これまでの「LIV 1.0」においては、リブゴルフの98.48%をPIFが所有していた。しかし、「LIV 2.0」では、選手が株の52.5%を所有し、BCパートナーズと共同投資家が45%、マネジメント(経営陣)が2.5%を所有するという。選手が所有する52.5%を個々の選手にどう配分するかは、まだ明らかにされていない。

 一方、7人で構成される取締役会では、BCパートナーズが3名、選手と経営陣が2名を指名、さらにリブゴルフCEO、そして残る1人は独立取締役となる。

債権者となったPIF

 気になるのは、PIFの存在と関わりである。これまでPIFはリブゴルフに総額50億ドル超(約7800億円超)を投入してきたが、前述の通り今年4月に支援打ち切りを決め、リブゴルフを見捨てたと言われていた。

 それなのにPIFが、破産申請を行ったリブゴルフに対し、破産手続き中の事業継続資金として4960万ドルを提供するのは、矛盾した行動のように感じさせられる。

 しかし、米ゴルフドットコムによると、裁判所に提出された資料には、こんな事実が記載されていたという。

 PIFは今年4月にリブゴルフへの支援を打ち切った後、6月4日にリブゴルフと担保付融資契約を結んでいる。つまり、PIFがリブゴルフに融資をしたということ。9月8日に破産申請が行われた時点で、その残高は約4億9500万ドル(約772億2000万円)に達し、それに未払い利息が加わっている。

 ここでも一見、矛盾して見えるこの動きは、PIFがリブゴルフへの資金提供の形を、「出資」から「融資」へ切り替え、株主であると同時に債権者としての立場も得たことを意味している。

カギを握るのは選手たちの決断

 一般的に、会社の資産から回収を受ける際の優先順位は株主より債権者のほうが高いことを考えると、PIFはこれまでのように無制限に資金を投入することを止め、優先順位を持つ貸し手としても資金を提供する立場に切り替えたのだと考えて良いのではないだろうか。

 そうだとすれば、PIFはリブゴルフを完全に見捨てたわけではないのかもしれない。

 ただし、どんなことをしてもリブゴルフを助けようというほどの熱意やこだわりは、おそらく無いだろうと思われる。なぜなら、そうした意思や気持ちがあるのなら、そもそも支援を打ち切ったりはしていないはずだからである。

 そう考えると、もしも選手たちが35日以内という期限内に再建支援契約にサインせず、BCパートナーズなどからの本格的な再建資金の提供が行われなれば、そのときこそPIFは、リブゴルフを完全に見捨てるのではないか。

 いずれにしても、カギになるのは、リブゴルフ選手たちが10月13日までに、新たな契約にサインをするかどうか。それが最初で最大の難関である。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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