15歳の学力は世界トップ級なのに…日本の若者が「世界トップレベルの大学」で学ぶ機会が少ない理由
中等教育までの水準は世界トップクラス
経済協力開発機構(OECD)が15歳を対象に3年ごとに行っている国際的な学習到達度調査(PISA)。読解力、数学的リテラシー(応用力)、科学的リテラシーの3分野の到達度を図るもので、9月8日に発表された2025年実施の調査結果で、日本はいずれも世界トップクラスだった。日本から参加した全国約6500人の平均は、91の国と地域における約76万人のなかで、読解力4位、数学5位、科学5位で、OECD加盟38カ国中でははじめて、3科目すべてで首位に立った。
「褒める教育」はやりすぎNG。とはいえスパルタすぎても「虐待」に…やりすぎ英才教育の結果、壊れた兄は実の妹に《無料漫画を読む》
課題も指摘されてはいる。同時に行われた質問調査では、「物事の仕組みを知ることが好き」かどうかという問いに、「まったくその通り」「その通り」と答えた生徒は59%で、OECE平均の74%よりかなり低い。「新しいことを学ぶのが好き」など回答も平均を下回った。つまり、好奇心や探求心に欠ける、という日本の若者の欠点も浮き彫りになったのだが、15歳の時点での基礎学力が世界でトップクラスであること自体は、動かしがたい事実だといえる。
それなのに、どうして日本では経済が長期にわたって停滞し、世界のなかでの存在感が低下したまま、技術革新が起きず、新産業も生まれない状況が続くのだろうか。素直に考えれば、15歳を超えてから、すなわち高校、それ以上に大学教育に問題があるのではないか、という疑問が生じる。
そこで日本の大学の世界における位置づけを確認してみたい。イギリスの高等教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」の「世界大学ランキング」は、同様のランキングのなかで信頼度が高いとされる。その2026年版を見ると、1位のオックスフォード大学(英)から10位のイェール大学(米)までアメリカとイギリスの大学が独占している(米7校、英3校)。
評価の指標として、研究以外に国際性も重視されるので、英語圏の大学の順位が高くなる傾向にはある。だが、11位以下を見ると、11位にスイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHチューリヒ)(スイス)、12位に清華大学、13位に北京大学(ともに中国)、17位にシンガポール国立大学(シンガポール)など、米英以外の大学もランキングしている。そんななかで日本は、26位にようやく東京大学が入り、以下、100位以内は京都大学が61位につけるだけだ。
欧米などより圧倒的に少ない日本の大学生の勉強時間
この落差はどこから生じるのだろうか。最初に指摘できるのは、欧米などの大学は入試が比較的容易で卒業は難関なのに対し、日本の大学は入試が難関で卒業は容易だ、という違いである。その結果は、大学生の勉強時間の差として如実に表れる。
文部科学省の「全国学生調査」では、授業の予習・復習や課題などに週6時間以上を充てる学生の割合が、2021年度の43%から2024年度には32%に減った。一方、アメリカの大学生の勉強時間は1日あたり3~6時間程度とされるので、これでは日本の大学のランキングが上がらないのも当然だろう。
それでも、世界トップレベルの大学で学ぶ機会が、日本の学生に開かれていればまだいいが、そうでもないようだ。一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏は、『アメリカはなぜ日本より豊かなのか?』(幻冬舎新書)で、次のようなユニークな試算をしている。
THEによる「世界大学ランキング」の2024年版をもとに、人口1億人あたりの「世界トップ100位以内の大学数」を出しているのだが、それによると、アメリカ、カナダ、オーストラリアのほかドイツなどヨーロッパの主要国が7~35校なのに対し、日本は1.6校にすぎないという。そして、こう結論づけている。〈日本の若者が世界トップレベルの高等教育を受けられる機会は、欧米諸国の1割から2割程度でしかなく、韓国と比べても4分の1程度しかないことになる〉。
だったら留学という手も、本来なら考えられるはずだが、異常な円安によって円の価値が何割も下落している現状では、それもままならない。日本の学生が置かれている状況は八方ふさがりで、それは日本の将来の経済力に直結するに違いない。
[1/2ページ]


