マンションに帰ると、妻と恋人が並んで座っていた。「一緒になったらどう?」「時間を返してよ」…火に油を注いだ42歳夫の言い分
そして“修羅場”が…「ゲス野郎」
それからしばらくたった今年の初め、マンションに帰ると、妻と優里亜さんがリビングに座っていた。
「お帰りと真希が言いました。オレをじっと見つめている。いったいどうしたのと言うと、『あなた、この人と一緒になったらどう?』って。それを真希が言う? どうなってるんだと思いました。『結婚って、ひとりの人としかできないでしょ。彼女がどうしても結婚したいなら、すればいいわよ。あなたは今まで通り、帰りたいときに私のほうに帰ってくればいい』と真希は真顔で言いました。オレは真希と結婚しているんだよ、どうして今さら優里亜と結婚しなくちゃいけないわけと思ったし、そうも言いました。オレはそもそも優里亜と結婚するなんて一言も言ってない」
その言葉のすべてが優里亜さんの心をえぐっていったのだろう。男と女の関係になっておいて、あまりに冷たい言い方だと優里亜さんが泣き出す。真希さんはそんな優里亜さんの肩を抱くように撫でながら、「そうだよ、ひどいよ、裕ちゃん」と言った。
「でもそもそもオレが結婚していて、離婚の意志もないことを知ってただろう、優里亜は。それを今さらどうして結婚なんて言いだすのかわからないんだよ。オレは家庭を大事に思ってるし、家族が好きだし。そう言うと、優里亜と真希、ふたりの目が光りました。『ゲス野郎』と優里亜が叫んだ。真希まで『どうしてここでそういうこと言うのよ、ゲス野郎』と呼応した。なんだこれって感じでした」
なんで妻は彼女の味方を…
そもそもなぜ真希さんが優里亜さんの味方をしているのかもわからない。自分としては大好きな女性ふたりに罵られるのも理不尽にしか感じられなかった。ふたりと関係をもっているのは世間的には許されないのかもしれないが、真希さんも優里亜さんも、そういうことにはこだわらないような気がしていたのだ。特に優里亜さんは自分も既婚者なのだから。
のちに真希さんは、そのときの心理を裕造さんにこう説明した。
「優里亜さんは、たぶん頼れる男性がいないと生きていけないんだと思う。彼女を傷つけないために私が味方になるしかなかったと。でも妻が夫の恋人の味方をするのはやっぱり変ですよね」
その後、優里亜さんは急に現実に返ったように冷静になった。「奥さんにああ言われたら、私は退くしかない」と言いだしたのだ。そして裕造さんのもとを去っていった。別れる気などなかったから、彼は焦ったという。
そして今は
だが友だちとしての関係は今も続いている。最近、優里亜さんの子どもたちは父と祖母が母を追いやるような言動をとっていたのではないかと思い始めたらしい。子どもたちと会うと少しずつ距離が縮まっているのを感じると優里亜さんは話しているそうだ。「それでも私は言い訳ができない。子どもたちを置いて出たのは私だから」と自分を責めてもいるのだそうだ。
一方の裕造さんは東京で働いて、故郷に戻って英気を養う生活を続けている。真希さんは変わらず迎えてくれるが、あれ以来、ときおりふたりだけのときに「あんたはやっぱりゲスい」とつぶやくらしい。
「顔は笑っているんですが、いつかオレは真希に復讐されるんじゃないかなと思っている」
そう言ったときの裕造さんは一瞬、真顔だった。
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恋人が去った後も故郷の家庭へ戻り、笑顔の妻から「ゲスい」と言われる裕造さん。記事前編では、ボクサーの夢と会社員生活に挫折した彼が真希さんと再会し、妻子を故郷に残して東京へ戻るまでを紹介している。
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