中国にパンダ返還後も「訪問客数はむしろ増加」 和歌山県が「観光客動態調査」を公表 地元・白浜町が「ゼロ・パンダ」の影響を受けなかった“納得の理由”

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 和歌山県白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」から目玉のジャイアントパンダ4頭が一斉に返還されて1年余り――。地元・白浜町では、観光客の減少が予想されていたが、8月末に公表された県の昨年の「観光客動態調査」の数字を見ると、それが良い意味で裏切られたことがわかる。昨年、同町や、白浜温泉などの観光地を訪れた客の総数は一昨年の数を上回り、返還後の月の観光客数を見ても一昨年とほぼ同じ数字を維持している。町の調査によれば、今年に入っても観光客数は依然好調という。なぜか。

【前後編の前編】

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政治的動物

 アドベンチャーワールドからジャイアントパンダが返還されたのは、昨年6月28日のことだった。同園は1994年以来、中国から3頭が貸与されたほか、そこから17頭が誕生するなど、日本一のパンダの繁殖地として世界的にも知られた存在となった。ちなみに1994年時の報道によると、貸与料に当たる保護資金は2頭で年間130万米ドル。当時の為替レートで1億3000万円ほどだったという。

 しかし、昨年6月の貸与期間の満了の際は、契約の延長が行われなかった。これまでは期限を終えても、そのまま貸与が続けられてきただけに、4頭の一斉返還は、極めてイレギュラーな対応と映ったわけだ。

 これを巡っては、白浜町の大江康弘町長が県会議員、国会議員時代を通じての「親台湾派」であり、一昨年町長に当選した後も、中国・成都市内の行政区から受けた友好都市締結の申し出を断り、南紀白浜空港への台湾チャーター便の就航を進めるなどの施策を取ってきたことが原因と見る報道もあったが、真相は不明である。また、返還前年には和歌山県内選出で、中国と太いパイプを持っていた二階俊博元自民党幹事長が政界を引退している。

 さらに今年1月には、アドベンチャーワールドからの返還後、国内で唯一パンダが飼育されていた東京の上野動物園でも、2頭が契約切れにつき中国に返還された。これにも、昨年11月、高市早苗首相が国会で「台湾有事は日本の存立危機事態」発言を行ったことが影響したとの指摘がある。

 上野動物園からの返還によって、日本は「ゼロ・パンダ」の状態に。改めてパンダが「政治的動物」であることが白日の下に晒されたのだ。

意外な結果

 アドベンチャーワールドからパンダが消えることで、地元では観光客の大幅な減少を危ぶむ声が相次いだ。何しろ、白浜町は「パンダのまち」として売り出し、庁舎や駅はじめ町中の至るところにパンダの看板やモニュメントがあった。その町の象徴が消えるわけだから当然である。

 ところが――。

 この8月31日に公表された和歌山県の観光客動態調査報告書(令和7年)で出た数字は、実に意外なものだったのだ。

 この調査は、県の観光振興課が、県内を訪れた観光客の動向を把握する目的で毎年行っているものだ。主要観光地や市町村別、宿泊客か日帰り客か、観光の目的別、外国人宿泊客など、さまざまな観点から観光客数の集計を行い、傾向を分析している。

 令和7年の「市町村別」の数字を見ると、アドベンチャーワールドが所在する「白浜町」の観光客総数(宿泊客+日帰り客)は、約325万7000人。まだパンダがいた令和6年は約318万4000人だったので、約2.3%増となる。

 同じく「観光地別」の数字を見ても、近接する「白浜温泉・椿温泉」地区の昨年の観光客の総数(宿泊者+日帰り客)は約309万人。一昨年は約300万7000人なので、約2.8%増となる。

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