就活中の大学生にこそ知ってほしい「コンサルは転職に強い」の落とし穴…自分の市場価値を上げ続ける「ステップアップ疲れ」の“しんどい”実態

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どこに腰を据えるか

 つまり、コンサルはあらゆる業種のあらゆる職種の仕事に関われる可能性がある。だが、それは裏返すと、専門分野が定まっていないということだ。金融も製造業も小売も、全部扱う。戦略も業務改革もデジタルも、全部やる。結局、汎用スキルばかりに気を取られて専門性が積みづらい。

 若いうちは汎用スキルだけで乗り切れる。だが、中高年になったとき、それだけでは生き残れない。コンサルスキルがあるだけの人間は、いくらでもいる。

 コンサルスキルしかないコンサルタントはコモディティ化した商品であり、差別化しにくく、価格競争に巻き込まれやすい。

 若者もどんどん流入してくる。40代を超え、家庭もでき、体力も落ちた人間が、時間も体力も無尽蔵な20代と同じフィールドで戦い続けるのは苦しい。

 では、どうすればいいのか。

 鍵は、「どこに腰を据えるか」を決めることだ。私の言葉で言えば、一生の仕事、つまりは「終の住処」を見つけることである。終の住処とは、キャリアの最終目的地であり、自分の仕事の専門性のことだ。ただし、ここで言う専門性は「能力」ではない。あなたが人材市場の「どこに立っているか」を示す座標だ。「医療機器向け組み込みソフトウェア開発」「製造業のクロスボーダーM&A」といった具体的な仕事の名前である。

「プロフェッショナル版終身雇用」

 そこさえ決めることができれば、プロフェッショナルとしての自由を保ったまま、専門性という安定に守られて働くことができる。組織に守られる終身雇用ではなく、専門性に守られる終身雇用。私はそれを「プロフェッショナル版終身雇用」と呼ぶ。

 冒頭で紹介した拙著では、この「プロフェッショナル版終身雇用」を実現するためのあなたの「終の住処(一生の仕事)」をAIや様々な転職サービスを駆使して見つける方法をまとめた。これまで「転職本」は数多くあったが、「転職を終わらせる本」はさほどなかった。コンサルや外資系企業、ベンチャーといった転職前提の職場で働く人が悩む「転職疲れ」「ステップアップ疲れ」を終わらせるための方法論を提示できればと考えた。

 転職できることは、自由である。

 しかし、転職しなくてもいいことは、もっと自由なのかもしれない。

 第1回【“タフで優秀な若者”はなぜ数年でコンサルを辞めるのか…「プロは言い訳をしない」と洗脳され、休日返上で“無理ゲー”な仕事を続けるエリート会社員の実態とは】では、新卒のコンサル社員が体験する業界の“闇”に光を当てている。

松本昌平(まつもと・しょうへい)
1978年、京都府生まれ。京都大学大学院修了。総務省や財務省などに勤務し、退職後は米ボストン・コンサルティング・グループ、経営共創基盤(IGPI)など複数の戦略コンサルティングファームに在籍。現在は、「データドリブン・イノベーション」を標榜するアスタミューゼ社でコンサルタントとして働く傍ら、「元官僚芸人まつもと」の名でお笑い芸人としても活動。著書に『コンサルたちの憂鬱~転職無限ループ脱出マニュアル』(BOW BOOKS)。また、11月13日に『ブラックエリート~不毛な激務に身を投じる人たち』(朝日新聞出版)を出版予定。

デイリー新潮編集部

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