「打てるだけ」で指名順位は上がる? セ・リーグDH制導入が変える2026年ドラフト
2027年からセ・リーグにDH(指名打者)制が導入される。これまで守備や走塁に課題があり、ドラフトで評価を上げきれなかった強打者にとっては、大きな追い風となるはずだ。【西尾典文/野球ライター】
【写真】セリーグDH制導入でスカウトも大注目“打の一芸”に秀でた3人の選手
鍛えがいのある選手
打撃を生かせる枠が一つ増えれば、各球団の選手を見る基準にも変化が出てくる。今年のドラフトでは、“守れなくても打てる”選手の順位が上がるかもしれない。では、そんな“打の一芸”を持つ候補は誰なのか。
筆頭は春山陽登(大阪商業大・外野手)だ。敦賀気比では3年時に中軸を担い、春夏連続で甲子園に出場。大阪商業大では2年秋から外野のレギュラーに定着し、いきなりリーグ新記録となる1試合3本塁打を放った。今年は大学日本代表に選出されている。
最大の魅力は飛距離だ。一方、外野守備の動きや返球の強さには課題が残る。NPB球団のスカウトはこう話す。
「遠くに飛ばす力は大学生でもトップクラスです。守備と走塁は正直、プロの平均以下だと思います。ただ、打席に入る準備がしっかりしていて、対応力も低くない。将来的に中軸を打てるだけの力はあると思います」(近畿地区担当スカウト)
秋季リーグ開幕戦となった9月5日の神戸学院大戦では、第2打席で打った瞬間に分かる本塁打をレフトスタンドへ叩き込んだ。これでリーグ戦通算11本塁打。佐伯貴弘(元横浜、中日)が持つリーグ記録の12本にあと1本と迫った。打撃を高く買う球団なら、上位指名も視野に入る。
大学生では井樫太希(北海学園大・一塁手)、佐藤悠太(東北福祉大・外野手)、伊藤颯希(上武大・外野手)にも注目したい。
井樫は北海高時代に投手から野手へ転向。昨年春は指名打者でベストナインに輝き、大学選手権では本塁打を放った。2年連続出場となった今年の大学選手権は初戦で敗れ、4打席4三振。それでも豪快なフルスイングは迫力十分である。地方リーグの一塁手という点は評価を上げづらい要素だが、右の強打者という希少性は魅力だ。
佐藤は報徳学園時代に投手から外野手へ転向した。大学進学時は決して有名な選手ではなかったが、昨年の大学選手権で一気に注目を集めた。大学ナンバーワン投手の呼び声高い鈴木泰成(青山学院大)からセンター左へ特大の一発。チームの優勝に大きく貢献し、自身はMVPに輝いた。
NPBのスカウトは打者としてのポテンシャルを高く買っている。
「そこまでフルスイングしているように見えなくても、しっかり飛距離が出ます。スイングには柔らかさがある。まだタイミングの取り方に課題があり、簡単に三振する場面はありますが、捉えた時の打球は凄いですね。センター方向にも長打を打てます。守備は打球判断や送球の正確性に課題がありますが、元々投手なので肩は悪くありません。鍛えがいのある選手だと思います」(東北地区担当スカウト)
長打力は社会人でもトップクラス
今年の大学選手権では初戦の中部学院大戦で本塁打を放ち、再び大舞台で一発を見せた。大学日本代表入りは逃したが、右の長距離砲を求める球団には魅力的な存在である。
伊藤は185cm、96kgの恵まれた体格を誇る右の強打者だ。県岐阜商では打線の中心を担い、上武大では主将を務める。今年春のリーグ戦では6本塁打、21打点をマーク。本塁打、打点の2冠に輝いた。ツボにはまった時の打球は大学生でも屈指の飛距離を誇る。大学選手権では結果を残せなかっただけに、秋のリーグ戦での打撃がドラフトに向けたポイントになる。
社会人では杉崎成(JR東日本・三塁手)と金原塁(日立製作所・三塁手)を挙げたい。
杉崎は東海大菅生時代から評判だった右のスラッガーである。明治大では選手層の厚さと守備への不安から定位置をつかめず、リーグ戦通算1本塁打に終わった。ところがJR東日本では1年目から打撃を買われ、中軸に定着。今年5月のJABAベーブルース杯では5試合で19打数9安打2本塁打、打率.474をマークして首位打者賞を受賞した。
都市対抗本大会は2試合で1安打に終わったが、予選では豪快な一発を放っている。三塁守備には課題が残るものの、高々と打ち上げる打球が特徴で、長打力は社会人でもトップクラス。チームの先輩、高橋隆慶(JR東日本→2025年ソフトバンク5位)に続くプロ入りを十分狙える。
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