「学校に行かなくていい」だけでは救えない…夏休み明けに増える子供の自殺 その陰に潜む“教育虐待”

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 日本では、小中高生の自殺が過去最多を記録しており、夏休み明けの時期には例年その数が増加する。実は子供の自殺の遠因に、教員はもちろん、親すら気づいていない「受験」「教育虐待」が潜んでいることは珍しくない。

 コミック「教育虐待~子供を壊す『教育熱心』な親たち」に掲載された学業不振をめぐる自殺のエピソードは大きな反響を呼んだ。このマンガの読者である精神科医は次のように語った。

「自死には複数の要因が絡み合っているのが普通ですが、子供の場合はその一つとして受験のプレッシャー、もっと言えば、親による教育虐待が含まれていることが少なからずあります。けれど、そうしたケースでは、親は教育虐待を認めませんし、遺書などに原因が明記されていなければ周りも気づきません。そのため、表向きは『健康問題』などとして片付けられてしまっているのです」

 厚生労働省の統計でも、最大の原因として挙げられているのが学業不振や進路に関する悩みといった「学校問題」だ。

 親からのプレッシャーがなければ、いくら成績が伸び悩んでいても、子供が自ら命を絶つという選択をすることは稀だろう。逆に言えば、それだけ家庭の圧力の有無が大きいということだ。

 一体、子供の自殺と教育はどうかかわっているのか。マンガ「教育虐待」の取材から、考えてみたい。

A美さんのケース

 現在、東京23区を中心に起きている“中学受験ブーム”は過熱しており、都内のメンタルクリニックでは「受験うつ外来」を設置するところまであるほどだ。

 こうした家庭では、子供は小学2、3年生から進学塾へ通わされ、小4くらいからは夏休みなど長期休暇を返上して受験勉強を強いられる。さらに頻繁に行われる塾のクラス替えテスト、模試の成績をもとにした面談、親同士のマウントなどが加わり、精神的に追い込まれていく。

 とはいえ、先の精神科医によれば、受験のプレッシャーのみで命を絶つ子はほぼいないそうだ。

「専門家の間では、3~4つくらいの要因が重なったことが原因で心を病み、そこから生じる希死念慮によって命を絶つと言われています。したがって、受験の渦中にある子が、受験のプレッシャーだけでそれを選ぶことは稀です。

 ただし、教育虐待の被害児は、高校生や大学生になってから、そのつらい過去がトリガーとなっていくつかの新たな問題を抱え、自死を選ぶことがあります。小中学生の頃に受けた教育虐待が原因になり、高校生や大学生になって精神疾患や対人関係に支障をきたし、それで生活が崩れて、最後は自ら命を絶つなどです」

 この精神科医が教えてくれた例が次だ。

 A美さんという女の子がいた。父親は国立医学部卒の医師、母親は短大卒の事務職員だった。父親はほとんど家のことには関与せず、学歴コンプレックスを抱く母親がA美さんを女医にするべく猛勉強をさせた。

 6年間、進学塾に通ったものの、小6の夏頃から成績が下降し、なんとか合格したのは第三希望の「上の下」に位置づけられる中堅の女子校だった。

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