年寄りへの配慮が度を過ぎているが… 意外と楽しめる「大空港」
テレ朝のドラマタイトルのセンスの悪さには定評がある。陳腐というか、手抜きというか。大を付けりゃいいってもんじゃない。同期作品も「大追跡」だし。しかも、外国人と接する空港が舞台なのだから、セリフは英語のままで字幕付けりゃいいものを、突如日本語吹き替えにする愚行。強烈な違和感。再現ドラマじゃないんだから(こちとら眞栄田郷敦のネイティブ英語が聞きてえんだよ)。テレビ局が徹底する「分かりやすさ」と年寄りへの配慮も度が過ぎると、作品全体の質を下げちゃう。「大空港」の話だ。設定はそこそこ面白いし、役者陣も良いので損しているような。と、悪口はこれくらいにしとく。想定外に楽しんでいるので。
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急増した訪日外国人や、日本人でも渡航の際に法律を犯す悪しきやからに対応するべく、内閣官房が空港の新たな試みを提案。それが「GATE24」。入管・税関・検疫を一括化、迅速かつ合理的な審査を、という新設部署だ。確かに、ワンストップでやったらいいと思うわ。
ところが、だ。入管は法務省、税関は財務省、検疫は厚生労働省に農林水産省、その他、外務省や国土交通省も関わり、警察庁案件の訪日客もいる。管轄が異なる省庁の縦割り思考と縄張り意識が、一丸となることを許さない。
GATE24を提案し、人選から携わった参事官(松雪泰子)に対して、空港長(田辺誠一)も塩対応。協力も得られず、GATE24は空港の端っこに追いやられ、厳しい船出に。「寄せ集めだから検査もゆるい」と犯罪者からなめられたりもしてね。
主人公の税関職員を演じるのは趣里。知識と記憶力と観察眼で、客の荷物から違和感を嗅ぎ取る名手。相当の変わり者だが、モノへのこだわりは強く、罪の臭いを察知する能力に長けている。松雪にスカウトされてGATE24に来たクチだ。
私事で正念場を迎えた趣里が頑張ってるなぁと親目線で眺めつつも、鋭い観察眼の税関という設定で、ある男が頭をよぎる。日テレのバラエティー「THE突破ファイル」に登場するオクトパス木村こと木村昴(すばる)だ。監視官の勘や嗅覚で暴く罪って、つい見入っちゃうんだよね。
一方、入管職員にはキャリア官僚・郷敦がいる。本省勤務時代、パワハラに苦しむ女性を救うべく、相手を訴えることを提案。ところが相手は法務省御用達の天下り先。霞が関のお約束、立場を弁(わきま)えろということで、GATE24に左遷された経緯がある。郷敦は「エルピス」(フジ)や「ゴールデンカムイ」(WOWOW)でもハマり役だったが、今作の「スーツ・エリート・バイリンガル」も最上の適役だわ。
税関職員には板垣李光人(りひと)と奥貫薫、入管には加治将樹と椿原愛、動物検疫職員の齊藤京子もいて、このチームを束ねるのはいぶし銀審査官・柳葉敏郎という布陣。あ、警視庁からも青柳……じゃない吹越満が。役所のるつぼ、なるほどなと。
爆破予告に結婚詐欺など、やや無理筋な話もあるが、GATE24が結束し始めた頃に、スパイ疑惑を放り込んで緩急つけるあたりはうまい運び。別班にはかなわないが、テレ朝の鉄板だ。



