幸せな家庭は“ほくろ事件”でぶち壊された…義妹のでっち上げ? 元妻の病室で明かされた離婚の真相

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妻の態度が冷たいような

 それでも何度か会ううちに、娘の個性をおもしろいと感じるようになった。麻里さんの育て方がユニークだったのだろう。改めて麻里さんの魅力を知ったような気がしたと彼は言う。

「麻里はその後、落ち着いて、今はまた職場に復帰しています。周りも温かく見守ってくれているようで。本人はもちろん、がんなんか克服してやると意気軒昂です。だいぶ病気と仲よくなってきたわよと、いかにも麻里らしい言い回しをしていました」

 美陽子さんとの仲も決して悪くなっているわけではないが、隠し事をしている後ろめたさが宏忠さんにあるため、ときおり美陽子さんの態度が冷たいような気がすることがあるようだ。

「この年だから美陽子が僕の浮気などを疑っているとは思えない。でももしかしたら疑われているかもしれませんね。何をもって浮気とするかは人それぞれでしょうし……」

 宏忠さんとしては、このまま前妻や娘といい関係を続けたい。だが美陽子さんとも仲よくやっていきたい。そう願っているのだが、いつかはこのバランスが破綻する予感もある。

「美陽子と万が一、破局となっても麻里が再婚しようと言うはずがない。そんな気がするんです。彼女には彼女なりのプライドがあるから、病気を抱えたまま僕を受け入れるとは思えない。麻里のことだと手に取るようにわかるのが不思議なんですけどね……」

本当に惹かれている女性と一緒にいたい

 勢いで離婚してしまったものの、再会してから麻里さんへの気持ちが生き生きと蘇っているのが伝わってくる。それなのに美陽子さんと別れるつもりはない。そういう男性を世間では「ずるい」と言うのだろうが、「今さら、大きな決断をしたくない」という宏忠さんの気持ちもわからなくはない。

 このままどこまでいけるかわからない。ただ、元妻の健康を祈りながら、ときどき娘に会い、今の妻とトラブルなく過ごしていければいいと彼は言う。

「もうちょっとで、ちゃんと老人になれるのだから、色恋で揉めたくないんですよ。でも一方では、やはり本当に惹かれている女性と一緒にいたい気持ちもある。僕が好きなのはやはり麻里だけど、彼女とは激しいケンカもしそうな気がする。つつがなく、うまくやっていけるのは美陽子だとわかってもいるんです。だから、このままいけるところまでいければいいと思っています」

 ずるいといえばずるいのだが、彼の気持ちもわからなくはない。もう揉めたくない、気持ちを揺さぶられたくない。老境にさしかかった心持ちは、そういうものかもしれない。

 ***

 前妻への思いと現在の結婚生活との間で、宏忠さんは決断を避け続けている。記事前編では、定年直後の心筋梗塞を機に娘との再会を願うようになった宏忠さんが、麻里さんと出会い、娘の誕生を喜ぶまでを紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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