「えっ、郵便局員じゃない人が配ってたの?」…公取委が「日本郵便」にフリーランス法違反で勧告 “小泉改革”が変えた集配業務の実態

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「日本郵便がフリーの配達員に報酬の金額を示さないなど、“上の立場からイジメ”をしていたとして、公正取引委員会がフリーランス法違反を認定したというニュースが、違反とは別のことで、ネット上で波紋を広げています」

 公取委関係者はこう話す。「郵便物は局員の人が配達しているんじゃないの?」といった素朴な驚きでざわついたのだが、日本郵便では昨年から様々な問題や事件が表面化している。郵便というインフラを担う一方で、物流業界の中核企業でもある日本郵便で相次ぐ不祥事の原因と裏事情を解説したい。

生活者目線での驚きとは

 まず、今回ニュースとなったのは、日本郵便が業務委託の際に報酬額や支払期日といった取引条件を明示していなかったとして9月2日、公取委がフリーランス法違反を事実認定して再発防止を勧告した、というものだ。

 日本郵便は2024年11月から25年6月まで、フリーランスの個人167人に荷物の配達などを委託した際、報酬額や支払期日などの取引条件を明示していなかった。取引条件は書面などで明示するよう義務付けられているが、口頭で発注したり、メールで発注する場合も必要な事項を記載していなかったりしたという。

 前述の公取委関係者は「日本郵便が『仕事を回してやっている』という上から目線で、荷物の配達などの仕事を請け負わせている個人を、いじめているというのが事案の中心。そういう日本郵便の姿勢に批判の声が集まると思っていたのだが……」と困惑する。

 一方、25年1月には兵庫の郵便局でドライバーの飲酒や体調をチェックするため、法律で義務付けられている点呼を数年間にわたって怠り、記録を偽造していたことが発覚。日本郵便は同4月、保有する車両で郵便物の配送業務を行っている全国3188の郵便局の75%にあたる2391局で、「不適切な点呼や虚偽記載があった」との衝撃的な調査結果を公表して、社長が陳謝した。

 国土交通省は同6月に大型トラックやワンボックス車など、2500台について使用許可を取り消す最も重い処分を行う。同10月から今年2月にかけては、軽バンについても処分。全国1862局の3333台を使用停止にした。

 分かりにくいが法的には「郵便物」と「荷物」は全く別物で、日本郵便は郵便物の配達について国土交通省の行政処分を受けたばかりだったが、今度は荷物の配達で公取委の行政指導を受けたということだ。だが、公取委元幹部はこう指摘する。

「今回、ニュースサイトのコメント欄では事案そのものよりも『まさか、うちに届けてくれていたのが郵便局員ではなく個人のフリーランスだったとは』という、生活者目線の驚きの声が相次ぎました。その中には郵便物と荷物を混同しているものもありますが、問題の本質はそこではありません。公取委の認定で、日本郵便が本来、線引きすべき郵便物と荷物を、一緒くたにしてフリーの個人に押し付けている実態が分かったことなのです」

郵便物と荷物を一緒くた

 荷物に当たるゆうパックは、ヤマト運輸や佐川急便などと競合する「荷物」に当たるが、ゆうパックを取り扱う全国の“主要”な郵便局1074局を調査したうち、全体の93%に当たる1003局が、荷物の配達ばかりではなく郵便物の配達も付帯業務として潜り込ませ、外部の委託業者にアウトソーシングしていた事実が判明した。公取委は、同様の問題の有無を徹底調査するよう日本郵便に命令している。

「つまり、公取委が今回『違反を見つけた』としているのは、主要1074局のうちの93%に過ぎず、日本郵便は2万4115に上る全国の郵便局についても今後、内部調査を実施することが義務付けられた。公取委は全国的にこうした違法行為があったとみているわけで、『日本全国でフリーランスが郵便物も配達しているということか』と、SNSでも衝撃が広がっているのです」(冒頭の公取委関係者)

 一部のニュースサイトでは「郵便局員の制服を着ていない、完全なフリーランスがうちの荷物を届けていたの?」「周知もなしにフリーに配達させていたのか」といった、郵便物と荷物が全くの別物とは知らない多くの消費者の困惑とともに「そういえば最近、私服の人が郵便を持ってきていた」「郵便局の高い信頼性や安心感に対して郵便料金を払っていたのに」などの怒りの意見も相次いだ。

 旧下請法(取適法)やフリーランス法に詳しい弁護士は「車がないのにどうやって郵便を配達しているんだろうかと不思議には思っていた。2024年11月にフリーランス法が新たに施行されたばかりだっただけに、処分によって郵便物の配達という付帯業務の押し付けが激しくなったため、今回、不正があぶり出されることになったということだろう」と推察する。

 日本郵便では今年5月、東京支社で主任を務めた元社員が郵便ポストから手紙を回収する「取集業務」を委託する入札で、東京都板橋区の運送会社に便宜を図る見返りに高級腕時計など240万円相当の賄賂を受け取っていたとして、警視庁捜査2課に日本郵便株式会社法違反(収賄)容疑で逮捕されている。

 事件発覚後の社内調査で、不正は3代にわたって担当者に引き継がれていたことが確認され、3人全員が懲戒解雇された。日本郵便株式会社法の収賄罪は刑法の収財罪と同様に公訴時効が5年のため、前任の2人は逮捕を免れたという。警視庁関係者は「郵便局が業務の大半をアウトソーシングしているのは、昨日今日に始まったことではない。だからこそ犯行は3代も続いたわけだ」と指摘する。

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