「あなたの子だと思う。産むね」自由すぎる年上の妻とは別居婚…「人妻」「20歳年下」の2人の恋人がいる41歳夫、それでも心が満たされないワケ
玲香さんとの生活は「苦痛」
退院時には智紀さんもつきそい、玲香さんの自宅に泊まり込んだ。ところが1ヶ月間、同じ場所で生活しているうちに、お互いのイライラが募っていった。
「娘の世話はまったく苦じゃなかった。夜泣きされてもかわいかった。でも玲香との生活は苦痛でしたね。食べ物の好みも合わないし、洗濯や掃除のしかたとか、お互いに違いすぎてそのつど、どうしてそんなことするのと言い合うような感じになった。1ヶ月たって、『今後は通いにして。私たち、同居するのは無理だよ』と言われたので、そうだねと共感しました」
生後2ヶ月になると、玲香さんは喫茶店営業を始め、時間があれば夜は芝居の稽古に戻った。3ヶ月後の舞台に復帰するという。智紀さんは全面協力すると約束したが、「え、別にあなたはあなたの好きなようにしていいよ」と言われてしまう。
「頼られたかった願望は、ものの見事に蹴散らかされました。どんなときでも、玲香は人に頼るタイプではなかった。人の親切は受け入れるけど、自分からは頼らない。それが彼女の生き方だった」
性依存症に…「スポーツみたいな感じで」
寂しかったのだろうか、彼は職場以外で知り合った女性とすぐに寝るような生活をしはじめた。一時期は「かなりの性依存症だった」と自分でわかっていた。
「スポーツみたいな感じでしたね。出会って口説いて、どのくらいの時間でベッドに持ち込めるか。ろくに話もせず、体だけ重ねて別れていく。その潔さみたいなものが好きだったんですよ、当時は。たぶん、玲香と同居して親しくなりすぎて、人疲れしちゃったんだと思う。セックスが好きだったというより、自分を受け入れてくれる人を常に求めていたのかもしれません。まだ愛情とか恋愛については考えられなかった」
そんな智紀さんの行動に、玲香さんが気づかないはずはなかった。玲香さんは実に鋭い感性の持ち主だった。
「娘を抱きしめていたら、玲香に『智ちゃん、大丈夫?』と言われたんです。何がと言ったら、『満たされてない感じがするから』って。ま、人間なんてそう簡単に満たされるものじゃないけどさと、玲香は冗談のように言っていた。満たされていない感覚は僕の中になかったので、意外でした」
突然の「勧誘」
娘が小学校に入ったころ、仕事で意外な展開があった。勤務先から独立して起業した先輩が、彼に協力を呼びかけたのだ。今と同じ給料を出すという条件だった。
「僕はその先輩と特に親しかったわけでもないので、会って聞いたんですよ。どうして僕なんかを誘ってくれたのか、と。すると『昔から、きみの一匹狼的なところが好きだったんだよ。上に媚びない、下にもおもねらない。かといって、輪を乱すわけでもない。不思議な存在だと思っていた』って。場所や環境が変われば、きみはもっと実力を発揮できるんじゃないかとも言ってくれて。そんなふうに僕を認めてくれる人がいるんだとびっくりしたんです。でも一方で『何か騙そうとしているのではないか』と懐疑的にもなった」
何度も先輩に会い、会社を見せてもらい、今後の展開をじっくり聞いた。聞いているうちに「それはこうしたほうがいいのではないか」とアイデアも生まれ、話してみると「やはりきみに来てほしい。そのアイデアを使って、事業を一緒にやってみないか」と先輩は言った。一度きりの人生だから、賭けてみるのもおもしろいかもしれないと智紀さんは思った。このまま「満たされない」より、変化を求めたほうが満たされる可能性は高いだろうと判断した。
35歳で転職した智紀さんは、新たな仕事や人間関係に苦労もしたが、先輩の細やかな配慮も功を奏し、徐々に実力を発揮していった。
「今もまだ、道半ばですけど、会社も少しだけ大きくなってきました。べたつきがちだった人間関係も、ひとり昔ながらのやり方に固執する方がやめてからは、あっさりしています。とはいえ、たまにはみんなで飲みに行くこともありますし、いざというときは一丸となって仕事をすることもある。人間としてようやく青年くらいに達した僕には、ちょうどいい距離感なんです」
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