木梨憲武「ベンツへこませ騒動」でわかった「とんねるず的な笑い」の限界 「テレビだから許される悪ふざけ」はもう通じない
予定調和を破壊
昔からバラエティ番組を見ている人にとって、木梨のこのような行為は意外なものではない。むしろ、相手が嫌がりそうなことを躊躇なくやり、予定調和を壊してしまうことこそ、長年にわたって木梨が得意としてきた笑いの手法だった。
とんねるずは1980年代から、芸能界の先輩後輩関係やテレビ局内の秩序を遊びの対象にして、「普通ならそこまでやらない」という一線を越えることで笑いを生み出してきた。「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジテレビ系)でも、後輩芸人らに高額な時計を半ば強引に買わせる「買う」シリーズが人気企画になった。
そのような体育会系的な上下関係の押し付けや乱暴さについては、当時から批判がなかったわけではないが、「テレビだから許される無茶」として受け入れられ、面白がられてきた。
しかし、時代は変わり、現在ではそのような芸風が受け入れられにくくなっている。
ハラスメントに対する世間の目が厳しくなったことで、たとえバラエティの演出の範囲内であっても、パワハラ的な行為は笑いとして成立しづらくなった。また、コンプライアンスの意識も高まったことで、テレビ局も視聴者もそのようなものを受け入れないようになってきている。
テレビが最も元気だった時代には、木梨の無軌道な悪ノリは、予定調和を壊す痛快さとして受け入れられた。しかし、現在では同じことをやっても印象が変わってしまう。
今回の炎上騒動は、1人のベテラン芸人の失敗というよりも、とんねるず的な「テレビだから許される悪ふざけ」が、もはや無条件には認められない時代になったことを象徴しているのだ。
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