福山雅治、二宮和也、浅野忠信…“絶対的な一瞬”を求めて人生を歩む「写真家の映画・ドキュメンタリー」5選

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 瞬間を切り取る写真の世界。機材がいくら進化しようとも、これまで撮影された傑作の魅力はまったく衰えず、鑑賞者の感性を刺激し続ける。写真家たちはなぜ、どのようにしてそんな瞬間を追い求めるのか――。映画解説者の稲森浩介氏がセレクトした「写真家の映画」で、彼らの内側を覗いてみよう。

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福山雅治、唯一無二の演技

〇「SCOOP!」(2016年)

 スクープ記事を追いかける写真週刊誌のカメラマン・都城静(福山雅治)と、記者の行川野火(二階堂ふみ)。報道の世界を疾走感あふれる演出で描く。

 公開当時は「文春砲」が流行語となり、政治家や芸能人のスキャンダルが大きな話題となっていた。スクープを掲載した後に編集部で祝杯をあげる場面は、この10年のメディア状況の変遷を思うと今や懐かしい風景だ。

 しかし、いま観ても面白さに引き込まれる。その最大の理由は、福山が演じるカメラマンの造形だろう。都城はかつてスクープを連発していたが、今や芸能人のスキャンダル専門でかつての情熱はない。粗野で傍若無人で下ネタ連発の中年男。無精髭を生やした顔は酒の飲み過ぎだろうかむくんで見える。こんな福山は見たことないと思うほど破天荒な人物だ。

 しかし福山はこんな役を待ち望んでいたという。張り込み中の車に女性を呼んだり、情報屋(リリー・フランキー)と夜の店で遊ぶなどのアイデアは福山が提案して実現したという(「キネマ旬報」2016年10月下旬号)。

 現場のスクープ場面だけではなく、都城の内面も描かれる。彼は戦場カメラマンになりたかった。行川に見せる写真は、ロバート・キャパを一躍有名にした「崩れ落ちる兵士」だ。スペイン内戦で、人民戦線側の兵士が銃弾に倒れる一瞬を捉えている一葉。そんな写真を撮りたかったという。

 そして、この写真が衝撃的なラストに繋がっている。福山の唯一無二の演技とともに、ぜひ見届けていただきたい。

写真と家族

〇「浅田家!」(2020年)

 浅田政志は、自身の家族を被写体とした作品で世に出た写真家だ。その実話を主演・二宮和也、両親を平田満、風吹ジュン、兄・妻夫木聡の芸達者で固め映画化した。

 浅田の作品は家族写真と言ってもすべてに場面設定があり、家族はその役になりきる。例えば近所の消防署に交渉して、消防車の前で防火服を着た姿で撮る。ヤクザの一家、F1チーム、サッカー日本代表、選挙カー、パンクバンドと撮影場所や服装に徹底的にこだわる風景は、思わず笑みがこぼれる楽しさだ。

 政志はこの家族写真集を上梓し、写真界の芥川賞と言われる「木村伊兵衛写真賞」を受賞。実際の写真集「浅田家」(赤々社)と比べてみると、映画ではロケーション、構図、服装、ポーズ、表情と正確に再現しているのが分かる。

 ここまでは1人の写真家の成功譚だが、その後、政志は全国の家族写真を撮ることを決意。あるシーンで難病の子どもと家族の撮影場面がある。そこで政志は一筋の涙をこぼしシャッターを切るのだが、ここまで観てこの映画は家族のあり方を描いたものだと気づく。やがて命が尽きる子どもとの一瞬を残そうとする家族。息子のために、恥ずかしさを隠しながら撮影に協力する浅田家。家族がお互いをいたわる温かさが伝わってくるのだ。

 後半は、政志が東日本大震災の被災地に行く姿が描かれる。政志はそこで、罹災した家屋から拾い上げられた家族写真を洗浄し、持ち主に返す活動をしている青年(菅田将暉)と出会う。そこには多くの家族の絆が写真に刻み込まれていた。

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