福山雅治、二宮和也、浅野忠信…“絶対的な一瞬”を求めて人生を歩む「写真家の映画・ドキュメンタリー」5選

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写真家と妻

〇「RAVENS -レイブンズ-」(2024年)

 代表作「鴉」などが、世界中で再注目されている深瀬昌久。写真に全てを注ぎ込むその姿と、妻・洋子との愛を描く。

 深瀬昌久(浅野忠信)は、家業の写真館を継がずに写真家を目指していた。やがて結婚する妻・洋子(瀧内公美)や、実家の家族を被写体とした革新的な作品を発表し脚光を浴びる。しかし深瀬は、洋子を写真で撮ることでしか愛し方を知らない。洋子は反発して2人は離婚してしまう。

 深瀬は「自分の生きてることの執念深さみたいなのは、やっぱり写し続ける過程で出てくると思う」(森山大道『過去はいつも新しく、未来は常に懐かしい』青弓社)と話している。その言葉を反映するように、作中には深瀬の化身として人間大の鴉=レイブンズが登場し、深瀬に生活を投げ打って芸術家として歩むことを囁く。

 生前の深瀬と交流があった作家の大竹昭子氏は、この作品を観て「深瀬の気配が生々しく蘇り、懐かしさが込み上げた。生きることに独特のこだわりを示し、他人を巻き込んでしまう、そんなどうしようもない男を浅野忠信が、実に自由にのびのびと演じていた」(「週刊文春CINEMA」2025年春号)と語っている。

 1992年、新宿ゴールデン街の「南海」で泥酔した深瀬は、階段から転げ落ち脳挫傷となる。その後写真家として復活することはなく2012年、78歳で逝去した。大竹氏は、療養先の深瀬を何度か見舞っているが、ベッドサイドにはいつも洋子がいたという。機会があれば、深瀬の作品に触れてみて欲しい。時代を超えて感情を揺さぶるその作品に。

稲森浩介(いなもり・こうすけ)
映画解説者。出版社勤務時代は映画雑誌などを編集

デイリー新潮編集部

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