誕生日の夜、恋人が消えた。口座の100万円、祖父の形見の時計もない…「完全に騙された」 女性を信じられなくなった僕が、それでも結婚を決めた相手とは

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出産直前の大トラブル

「予定日の1週間くらい前、幼なじみの雄二から連絡があったんですよ。高校までずっと一緒で、僕は東京の大学へ進学したけど、彼は地元の大学へ行って地元で就職したんです。東京に出張で来ているから会えないかって。雄二は忙しい中、結婚式にも駆けつけてくれたヤツ。出張に来るたび会っていました。その日も紘絵に話したら、『まだ大丈夫だから、会っておいでよ』と言ってくれて。何かあったらすぐ連絡してよと言い置いて、雄二に会ったんです」

 そういうときに限って「何かある」ものだ。初産にもかかわらず、紘絵さんは突然、産気づいた。連絡を受けた慎太さんは、あわてて店を出ようとしたところつまずいて転倒してしまう。足首に激痛が走った。支払いをしてくれていた雄二さんが駆けつけ、起こしてくれたが歩けない。雄二さんはタクシーを拾い、紘絵さんが待つ産院へ付き添ってくれた。

「まだ出産には間があるということでしたが、そこは産院なので僕の足は診られない。すぐ近くにある別の病院に連絡してくれ、雄二がまた付き添ってくれました」

 結果は靱帯損傷だった。断裂はしていないものの捻挫としては重症で、10日ほどギプスで固定しなければならなくなった。治療をしてもらって産院に戻ると、紘絵さんはすでに分娩室に入っていた。

「展開が早くて……。私、きっと安産だと思うと紘絵は根拠なく言っていたんですが、5時間後にはまん丸の女の子が生まれました。早かったわねーと助産師さんや看護師さんも驚いていました。無痛分娩を選択したこともあって、紘絵も『体力温存』と笑っていたくらい」

雄二さんが「ベビーシッター」に

 赤ちゃんのいる生活は楽しかったと慎太さんは言う。娘は夜泣きもせず、手のかからない子だった。親友の雄二さんは、その後、たびたび慎太さんの家を訪れるようになった。

「実はあのとき、雄二の奥さんは子どもを連れて家を出て行っていたんです。離婚を考えていると言っていました。その後、離婚したとも聞いた。それを機に東京へ出てきて仕事をするようになった。優しくていいヤツなんですよ。だから大学時代の先輩が後押ししてくれて、そこそこの企業に転職したんです」

 雄二さんにも子どもがいたが、離婚後は会えなくなっていた。その寂しさを紛らわすためか、よく子守を買って出てくれた。慎太さんには、2年後に息子も生まれたが、雄二さんは「ベビーシッターだと思っていいよ」と言ってくれた。

「雄二が子どもを見ててくれて、夫婦でデートに出かけたこともあります。帰りには雄二の好きなものを買って帰る。そうすると雄二は夕飯まで作ってくれるんですよ。悪いからいいと言っても『たまにでいいから、家庭の匂いをかがせてくれよ』と笑いながら言って」

 そう頻繁ではなかった。どうしているかなと思うとやってくる。子どもたちもごく自然に「ゆうじー」と呼び捨てにして、懐くようになった。

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 女性不信を乗り越え、また雄二さんという協力者も得て、幸せな家庭を築いた慎太さん。記事後編では、成長した娘の「結婚」をきっかけに、慎太さんが直面した“まさか”を紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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