「渡部建」の問題から逃げなかった 38歳「佐々木希」が仕事を減らすどころか増やし続けている理由

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家庭第一

 佐々木自身の子供のころは、苦労を余儀なくされた。10月に刊行される『佐々木希フォトエッセイ Natural』では自身の過去と現在をストレートに明かしており、それによると、父親が他界したことで、佐々木家の家計を、ある時期から母親一人で支えることになった。

「冬の寒さが厳しい秋田では石油ストーブが欠かせないので灯油代は切り詰めることができず、電気代や食費でいかに節約するか。そんなふうに母が苦労している姿をずっと見ていて『迷惑をかけている場合じゃない。私も家族の一員として頑張らなきゃ』と思い、少しずつ自分にできることを考えるようになりました」

 ただし、苦労をも前向きに意味づける。こうも書いている。

「人生で一番辛い出来事を経験し、家族みんなで少しずつ乗り越えてきたからこそ、きっと今の私のたくましさがあるんじゃないかなと思います」

 佐々木が渡部の問題の際に自分の家庭を守ろうとした心情も分かる気がする。家族観は人によってさまざまだが、佐々木にとって家族は、人生の核となる存在なのではないか。愛情の深さを感じさせる。

 もはや遠い過去になりつつあるバブル期は、お嬢様系の芸能人がもてはやされた。自分もそうなりたいという願望があったのも一因だろう。誰もが過酷な時代をサバイブしている現在は状況が異なる。

 高嶋ちさ子(58)、アンミカ(54)、野々村友紀子(52)ら、強い女性に支持が集まりがちだ。どんな状況にも負けそうにない人たちである。自分で道を切り拓けるように見える人たちだ。

 この3人とはイメージが違うが、佐々木もその一人だろう。渡部の問題について、泣き言を漏らさなかったのも、その表れと見ることができる。

 佐々木の生き方に惹かれている人も多いから、同性からの人気が高い。女性誌への登場も目立つ。現在も「FRaU web」でエッセイを連載している。

 同性からの人気の理由は、芸能活動だけにとどまらず、ワンマイルウェア(家で着るのに適している一方、近所にも着ていける服)のブランド「iNtimité(アンティミテ)」のプロデュースを成功させていることにもあるだろう。

 芸能人にありがちな、名前だけを貸すような関わり方ではない。生地選びから佐々木が携わる。サンプルを何度も試着し、普段着にふさわしい着心地か確かめる。コンセプトは「きれいだけど、楽」。仕事や子育てに忙しい女性の生活にも寄り添う。

 かなり前になるが、佐々木の演技についての批判が匿名掲示板などに書き込まれた。本人が気にすることもあった。今はそんなことを言う人を見かけない。「告白」の竹田泉役も堂に入っている。

 初主演映画「天使の恋」(2009年)の撮影前に演技の猛レッスンを積み、その後も「うまくなりたい」と向上心を持ち続けているからだ。やはり強い。

 佐々木はもっと売れると思う。新たなカリスマになる可能性すらあるのではないか。店員として秋田市内で働いているところをスカウトされてから20年。18歳で秋田から身一つで上京し、苦労の末に成功をつかんだ姿は、性別、年齢を問わず、胸を打つ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社。放送担当記者・専門委員として、1994年のNHK連続テレビ小説「春よ、来い」のヒロイン途中交代や、1999年のフジテレビ「愛する二人別れる二人」のやらせ問題などを特報する。2015年に毎日新聞出版へ入社し、サンデー毎日編集次長を務める。編集者としては「小池百合子都知事の真実」などを担当した。2019年に独立。元・放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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