「高市政権は式典に両陛下をお招きしながら、一切お言葉を賜らず…」 専門家は「政府や政治家の姿勢は、皇室に対して実に非礼」
「改正へのアンチテーゼ」
また、典範改正の礎となった2021年の「有識者会議」でヒアリングに応じた慶應義塾大学の笠原英彦名誉教授(日本政治史)も、
「一般国民とは異なるとはいえ、制度の中にいらっしゃるのは秋篠宮さまが仰るように『生身の人間』です。ご自身やご家族の人生に関わる法改正なのだから、内々に宮内庁がご意向を伺って官邸に伝え、それをできるだけ取り入れるべきだと思います。ところが官邸に遠慮してか、宮内庁は改正の後に皇族方に説明しただけ。それもあって秋篠宮さまは『思うところはある』と仰ったのだと思います」
その上で、こう指摘する。
「秋篠宮さまは会見の終盤で、皇室の方々のお気持ちの発信の仕方について『世の中って進歩していくことが大事です』と述べられています。私はこれを、政府が進めた改正へのアンチテーゼだと受け取りました。男系男子の養子を迎えたとして、そこに男子ができなければ安定的な皇位継承にはつながらないのだから“伝統を守る”だけではなく進歩させなくてはならない、そんな思いがうかがえるのです」
それでも、政治ジャーナリストの青山和弘氏によれば、
「6月の陛下の会見の時と同じく、今回も高市政権は秋篠宮さまのお言葉をまったく意に介していません。もちろん秋篠宮さまも制約のある中で発言されているので、明確にはお考えを述べられない。それもあって政府は“何も仰っていないに等しい”というふうに受け止めています」
自民党内で典範改正の議論をけん引した麻生太郎副総裁の側近で、“立法府の総意”の取りまとめを担った森英介衆院議長に聞くと、
「(会見の)内容は承知していますが、私から所感だとか意見だとか、そういうのは控えさせていただきます。“尋ねたけれど返事がなかった”としてもらって結構です」
そう言い残して電話を切ってしまった。現行の皇室典範成立から80年。あろうことか政治の不作為によって、皇室との間には大きな“溝”ができつつあるのだ。
前編では、秋篠宮さまが改正皇室典範を巡って「憲法に抵触しないぎりぎりの形」でご発言をなさった真意について報じている。
[2/2ページ]

