【中学受験】「小6の秋にやっておけば…」第一志望が不合格の中“まさかの渋幕合格”で千葉へ転居した親子が明かす「本音の体験談」

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 中学受験の鬼門といわれる夏が間もなく終わろうとしているが、一定の充実感を覚えるご家庭もあれば、どこか不完全燃焼に終わってしまったという焦燥を抱えるご家庭もあるだろう。ここで紹介するのは、第一志望に“あと一歩及ばず”の原因を「秋」に見出す経験談。SAPIX一本で突き進んだことへの「反省」も交えながら、受験生活のすべてと、現在の渋幕生活について明かした。

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「渋幕合格」は本当に良かったのか

 千葉県内どころか、今や中学受験界のトップに君臨する一校と言っていいだろう。だが近年、渋谷教育学園幕張、通称「渋幕」へと娘を送り出した杉山泰さん(仮名)の表情は冴えない。

「もちろんこんな素晴らしい学校に合格した娘はよく頑張ったと思いますし、運も良かったなと思います。しかし東京都心から容易に通学できる距離ではなく、入学して早々、千葉に引っ越すことになりました。賃貸でちょうどいい物件が見つからずローンを組んで新たにマンションを購入。もともと住んでいた分と合わせて“ダブルローン”になってしまいました……」

 第一志望は“女子御三家”の一校と渋渋(渋谷教育学園渋谷)。第二志望として“上位女子校群”を想定していたが、試験慣れのためにと受験日程の早い渋幕を受験。第一志望の2校も合格ラインぎりぎりだった中、渋幕の合格は「まさか」の想定外だったのだ。

「偏差値でいえばむしろ渋幕の方が高く、大変喜ばしいことではあったのですが、なにせ渋幕は自宅から遠いので、本当に通えるのかまでは真剣に考えたことがなかった。それよりも当時感じていたのは、『これで安心して“本命”に臨める』『渋幕に受かったのなら2校のうちどちらかには受かるだろう』という意味での嬉しさですね。しかし娘としてはこれで気が緩んでしまったようで、それからの1週間強はあまり勉強に身が入っていなかった。結局我が家は“ダブルローンを組んでの引っ越し”という結果になったことを考えると、あの合格には、嬉しさ反面、複雑な心境もぬぐい切れないところはあります」

 入学からしばらく経った今、本人の渋幕ライフはいかようであるか……という話の前に、まずは杉山家の中学受験記と、転機となった“秋の後悔”について振り返ってもらおう。

「SAPIXに入っておけば安パイだろう」

 自身が中学受験経験者である杉山さんにとって、娘を公立中に通わせる選択肢はなかった。

「公立中を悪く言うつもりはないですし、良い学校がたくさんあることも認識しています。ただ地域柄もあってか、私が幼い頃の最寄りの中学がけっこう荒れていたんですよね。そのイメージは正直ぬぐい切れないところがあります。そして何より、私自身が中高一貫校に進学したことで、一生モノの友人と出会い、充実した学校生活を送ることができた印象が強いので、『子どもができたら中学受験』と最初から決めていました」

 小学校入学前から知育の教室にも通わせ、満を持して迎えた「小3の2月」。中学受験組が一斉に走り出すタイミングで、杉山家が選んだ塾はSAPIXだ。

「いわゆる四大塾はすべて体験授業を受けたのですが、娘は『SAPIXが一番楽しかった』と。親としては当時から難関校受験を想定していましたから、まあSAPIXに入っておけば安パイだろう、というくらいの考えで決めました」

 保護者見学を受け付けておらず、親からは教室の中がほとんど見えない点に少しばかりの心配はあったが、順調に力を延ばし、ほどなくしてその校舎の上位クラスが定位置に。

「親から『勉強しなさい』と強く言うことも何度かありましたが、娘自身も受験には前向きだったので、勉強時間としてはしっかり確保できていた方じゃないかなと思います。学校内の中受組同士で模試の結果を競い合うなど、楽しんで取り組んでいたところもあったようです」

転機は「秋」にあった

 傍から見れば順調も順調。鬼門となったのは、やはり「小6の夏」だ。

「学校が休みで本格的に塾漬けの毎日になり、その“非日常感”で少し緩みが出たようです。お弁当を持って毎日塾に行き、周囲とも仲良くなってくると、通塾が『楽しいイベント』という意味合いを帯びてくる。それ自体が悪いことだとは言いませんが、後から本人に聞くと、あまり集中していなかった授業もけっこうあったようです。帰宅後も頑張っていたとは思うのですが、他の子の必死さに比べると、ふわっとした感じで夏を終えてしまった感があります。特に、本格的に応用問題と向き合っていく段階を前にして、算数の苦手意識が残ったままになってしまったのは手痛いポイントだったと思います」

「夏を制す者は……」という決まり文句があるくらいだ。はっきりとした感触が得られぬままに夏を終えてしまったと、まさに今、焦燥を抱えるご家庭は少なくないだろう。

 しかし杉山家にとって本当に重要なのは“その次”だった。

「今思えば、転機は秋にあったと思います」

 杉山さんはそう振り返る。

「夏の緩みが出たのか、9月に受けた夏休み明け最初の模試の成績がだいぶ落ち込んだんです。そうはいっても、学校もある中、日々の塾の授業内容を消化するだけでも気持ち的にはいっぱいいっぱい。特段の対策を打たないままでいたら、それ以降の成績も振るわないままでした。結果論にはなりますが、秋一発目の模試の結果ではっきりと苦手が表れた算数に目を付け、たとえばSAPIXの個別指導である『プリバート』を受けるとか、やりようはあった気がしています」

早稲田アカデミーからの勧誘

 その選択肢はSAPIXの“外”にもあった。

「秋には早稲田アカデミーの志望校別オープン模試を受けました。すると直後に早稲アカから『うちのNN志望校別コース』を受けませんか」という勧誘が。いわゆる“何がなんでも”のNNです。もう本番まで半年もない中、あまり手を広げすぎてもという思いもありましたし、何より普通のサラリーマン家庭だったので、金銭的に余裕があったわけでもなく、そこまで深く考えないまま断ってしまいました。ですがSAPIXにはうちが志望する学校だけに特化した専門コースが少なくとも通える範囲にはなかったので、早稲アカのNNを受けていれば……とはどうしても思ってしまいますよね。ましてそれがお金で解決できたことだったと思うと、なおさらです」

 秋以降の成績が低迷気味だったとはいえ、それまでは第一志望の判定も十分合格圏内だった。専門の対策講座によって「あと一歩」を埋められていたかもしれないと考えるのは無理もないことだろう。

〈杉山さんが拭いきれなかったという「SAPIXへの不安」や、併用を検討した早稲田アカデミーなども含めたこれまでの“反省点”、また渋幕合格後の生活などについて、新潮QUEの無料記事で詳述している〉

デイリー新潮編集部

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