「えっ、ロレックスじゃないのに4本で2億円?」 愛好家の聖地「中野」で起きた腕時計窃盗事件 「むしろリシャール・ミルを狙ったことに計画性を感じる」の声も

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マネーロンダリングに利用か

 もちろん、高級腕時計にはシリアルナンバーが刻印されており、盗難事件が起きれば捜査機関を通じて業者間で情報が共有されるため、日本国内で換金するのは事実上不可能である。したがって、海外に持ち出すしかない。だが、ロレックスは税関職員なら誰でも知っているし、パテック・フィリップも然りであろう。

 昨今はこれらの腕時計の資産価値が上がっているため、税関では持ち出し、持ち込みには目を光らせているとされる。しかし、リシャール・ミルは極めて高額であることに加え、マニアックで一般的な知名度が低い。実物を、しかも複数のモデルを目にしたことがある税関職員は少ないのではないか。

 リシャール・ミルは、知っていると遠目からでもわかるほど特徴的なデザインなのだが、知らないと高級腕時計には見えない。よく、オーナーが人に見せびらかしたら「G-SHOCKに間違われた」という笑い話があるが、本当にそうなのだ。詳しくなければ、よくあるゴテゴテした腕時計、という雰囲気なのである。

 筆者の友人の時計愛好家は、「身に着けていれば、何の指摘も受けずに税関を突破でき、海外に持ち出せてしまうのではないか」と語る。ロレックスと比べると知名度が低く、しかも高価な腕時計に見えないリシャール・ミルは盲点かもしれない。

防犯体制の見直しは急務か

 リシャール・ミルのデザインは非常に個性的であり、現代アートに近い性質をもつ腕時計と評する人もいる。人気が出たからといって大量生産を行わず、真摯に独創的な腕時計を追求するメーカー側の姿勢を支持する声も多い。そのくらい魅力的な腕時計が、こうした犯罪のターゲットになってしまうのは本当に残念である。

 コロナ騒動が起こってから現物資産が注目され、投機目的で腕時計が買われるようになり、値上がりが進んだ。それこそ、マネーロンダリングに使われるのか、銀座などの時計店では盗難事件が相次ぐことになった。中野ブロードウェイでも一部の時計店がかなり厳戒な防犯体制をとっていたのだが、白昼堂々こうした事件が起こってしまった。

 冷静に考えると、店頭に数百万円の腕時計が大量に並んでいるのは安全な日本の象徴ともいえる光景だった。そんななかで起こった今回の事件の衝撃は大きい。相次ぐ凶悪犯罪に、日本の安全神話が崩れつつあるように感じられる。これを機に、時計店をはじめ、宝飾品など高額な商品を扱う小売店の防犯体制の見直しは必須になりそうだ。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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