高市首相が「プーチン」の主張を突き返した…“狂気の皇帝”が意外と気にするロシア世論、北方領土訪問の狙い

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 終戦記念日を2日後に控えた今月13日、ロシアのプーチン大統領(73)が初めて北方領土を訪れた。“狂気の皇帝”が胸に秘めた思惑は、いったい何だったのか。

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 青空が澄みわたる晴天の下、プーチン大統領は北方四島の一つである択捉島に降り立った。

 学校や病院を視察し、現地に暮らす島民と言葉を交わす。さらには水産加工施設でイクラに舌鼓を打ち、白衣を着た施設関係者たちと談笑する姿まで公開したのである。

9月に5年ぶりの下院選

「訪問の背景には、5年ぶりとなる下院選を9月に控えたロシア国内の事情があると考えられます」

 こう語るのは、ロシアがウクライナに侵攻した4年前、駐ロシア特命全権大使を務めていた上月(こうづき)豊久氏だ。退官後の今年2月、『プーチンの歴史認識 隠された意図を読み解く』(新潮社刊)を上梓している。

「プーチンは択捉島に足を踏み入れることで、領土問題では譲らないという強い姿勢を示し、ロシア国民に存在感をアピールしようとしたのだと思われます。それは当然、ウクライナ戦争でも引かないとの意思表示につながる。愛国的なムードを高め、来たる下院選を有利に乗り切ろうとする狙いが透けて見えます」(同)

支持率は侵攻後で最低水準

 それもそのはず、プーチン大統領の支持率は60%台まで落ち込み、ウクライナ侵攻後で最低水準だ。

「主な原因は経済状況の悪化だとみられています。長引く戦争によって労働力が軍需産業に取られてしまい、戦死者や国外逃亡者も相次ぎ、物資の供給力が低下しているのです。結果、インフレと経済活動の停滞が同時に進行する“戦時スタグフレーション”に陥っています」(上月氏)

 無論、国民の不満は募るばかり。

「プーチンには独裁的なイメージがあるかもしれませんが、実は世論を常に意識しています。とはいえ、支持率に引っ張られるようなことはしません。むしろ、自ら積極的に民意を操作しようと考え、実行してきた政治家です」(同)

 そのための択捉島訪問というわけである。

責任を相手に

 ロシアの国家元首による北方領土訪問は、メドベージェフ大統領(当時)が2010年に国後島を訪れて以来、2度目のことだ。

「ウクライナ戦争が始まる前は、比較的良好だった日露関係への配慮から、あえて北方領土の土を踏むようなことは控えていたのでしょう。ところが、日本が経済制裁を科し続けている現在、プーチンとしては、もはやこちらに気を使う必要はないと判断したのだと思います」(上月氏)

 プーチン大統領は訪問前日の12日、サハリンでのロシア海軍太平洋艦隊の演習に参加。その際、日本が不当な経済制裁を続け、ロシアを敵視しており、NATOがアジア太平洋地域における安全保障上の脅威となっている旨を述べた。

「まるで日本側に一方的な非があるかのようなこの言いぶりこそが、ロシアのいつものやり方です。自分たちの言動を引き起こした責任を、相手に押し付けるのです」(同)

 高市早苗首相は訪問が行われた13日、表情をこわばらせながら記者団に「断じて許容できない」などと語り、抗議の意を示した。

「今回、総理の発言で最も印象に残ったのは、プーチンの北方領土訪問が、日露の“中長期的な関係回復を困難にした”と述べた部分です。これはロシアの主張をいたずらに受け止めず、突き返したといえます。問題を大ゴトにして、関係改善を困難にしているのはあなたの方ですよ、という意味でしょう」(上月氏)

 世論操作のためには何でもする大統領。対峙はやはり、一筋縄ではいかない。

週刊新潮 2026年8月27日号掲載

ワイド特集「変な噂 悪い噂」より

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