【VIVANT・徹底考察】新庄は“死んでいない” 野崎、佐野、新庄が“グル”だと考えるワケ
シンシーとの激突へ
別班と公安外事部門は性格が異なるが、最終目的は同じ。国民の生命や安全、暮らしなどを海外の脅威から守ることである。海外の脅威とは、まず現実にも関係が良くない中国だ。
そう考えると、分かりにくかった疑問が氷解していく。第11回から第14回は、中国の諜報機関「シンシー」のボスと見られるハン・リンシン(宮下今日子)に、野崎がたどり着くまでの長い布石だった。
別班員5人を拉致するための情報は、野崎がハンをあぶり出すため、意図的に流したのだろう。当初、裏切り者と見られた公安の警部・新庄浩太郎(竜星涼)は、野崎の指示で動いただけと見る。生きていることを前提に考えていい。
サイバー犯罪対策課の東条翔太(濱田岳)に至っては、何も知らないまま野崎に操られていただけではないか。野崎の行動を手助けしたのはいいが、逃走先も考えていなかったのだから、お粗末すぎる。望みどおり北朝鮮への逃亡ができたとして、誰も知り合いのいない独裁国家で、どうやって生きていくのだ。
野崎、佐野、新庄はグル
新庄は第14回、潜伏先のタイ・バンコクで地元警察に撃たれ、現地で死亡が確認されたというが、死亡が確認される場面はなかった。
撃たれる前の新庄をバンコクで現地警察から引き取った公安外事2課の脇坂昭夫(小久保寿人)は、失態を演じてしまう。新庄に至近距離まで近づかれ、撃つように頼まれたが、ひるんでしまう。そして新庄から「腰抜け」と罵られ、拳銃を奪われた。
新庄の手口は、軍人やヤクザなど銃の扱いに慣れた人間と同じだ。あえて相手の間近に寄ることで、撃たせない。銃はある程度の距離がないと、撃ちにくいのだ。どうしても肉片が飛び散ることを思い浮かべてしまう。特に頭は、脳や頭蓋骨への損傷を想像する。そもそも、至近距離の人間を撃つ訓練など、警察官もしていないのである。
新庄のうなじにガムのようなものが付着していたのは、人面マスクを製作したからだろう。ガムではなくラバーで顔の型を取り、本人そっくりのマスクを作った。それを別の遺体に付け、日本に移送したと見る。
警視庁公安部長の佐野雄太郎(坂東彌十郎)は、日本で新庄の検視を行わなかった。あり得ない。佐野は意図的に新庄を死んだことにしたのだ。
新庄はバンコクで匿ってくれた実業家のチョッキー・テーパーニット(タナパック・ジョンジャイパー)と爆発事件を起こした。実行犯はチョッキーだが、新庄も共同正犯に当たる。
タイで裁かれなかったからといって、日本で捜査の対象にならないわけではない。国外で行われた犯罪についても、日本の刑法の国外犯規定などが適用される。検視を省くことは考えにくい。
つまり、別班員5人のシンシーへの情報漏洩は、野崎と佐野、新庄の合作による芝居ということ。ほかの公安部員には伏せているのだろう。乃木も知らないのか、それともとぼけているのか。
野崎たちの目的は、シンシーのハン・リンシンとの接触だ。ハンは別班とテントの情報を欲していたが、野崎とて同じ。シンシーの実態を知りたがっていたに違いない。野崎は、別班員5人の情報をエサにしなければ、ハンは飛びついて来ないと考えたのだ。仮に乃木がこの計画を知らなかったとしても、野崎は事後承諾でいいと考えたのではないか。別班もシンシーの情報を欲しがるのは間違いない。
野崎は第14回でハンとテントとベキについて話し込んだ。ただし、テントの目的が孤児院の運営や貧困層の救済とまでは明かしたものの、日中の国益に関わるフローライトの件は伏せた。ここに野崎の狙いが表れていると見る。
野崎が、バルカの有力者の多くがテントの孤児院で育ったと説明すると、ハンはかすかに動揺した。ハン自身が孤児院と個人的な関係を持っているのか。それとも、孤児院に中国が関係する秘密があるのか。
シーズン1の第8回では、日本の上質な米を海外に横流ししようとした孤児院の施設長・ヤスダ(音尾琢真)が乃木に粛清された。国外追放処分になった。ヤスダがハンの仲間になり、孤児院をバルカ進出の足がかりにしようとしているという見方もできる。
レアアースなど戦略資源を必要とする日本。アジアと世界の覇権を握るため、資源を押さえようとする中国。その攻防に関わる別班、公安、そしてシンシー。リアルでスケールの大きな物語になった。
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