【VIVANT・徹底考察】新庄は“死んでいない” 野崎、佐野、新庄が“グル”だと考えるワケ

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中国との敵対は必然

 TBS「日曜劇場 VIVANT」(日曜午後9時)が第15回を迎える。シーズン2として数えると第5回だ。黒須駿(松坂桃李)ら別班員5人を拉致したのは、中国の諜報機関「シンシー」と判明した。当面の敵はこの組織である。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

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 やはり、この物語は最初からずっと続いていた。ともに海外の脅威から国益を守るために存在する別班と警視庁公安部外事部門が、中国と衝突するのは必然だった。物語を振り返ると分かる。

 シーズン1に登場したバルカ共和国駐在の日本大使・西岡英子(檀れい)の存在はご記憶のはず。別班の乃木憂助(堺雅人)と警視庁公安部外事4課の警視・野崎守(阿部寛)を裏切り、乃木の身柄を同国外相のワニズ(河内大和)に引き渡そうとした。

 よく分からなかったのは、西岡が裏切った動機だ。第2回でワニズは、乃木を差し出すことが日本とバルカの友好につながると言い、そうしなければ「日本はアジアでの主権を取り戻す機会を失いますよ」などと脅した。しかし、自国民の保護は各国大使にとって重要な役目だ。

 その任務を放棄したら、いくら外務省が容認しようが、外交官仲間からは軽蔑される。大使失格である。それを覚悟してまでバルカ側の意向に従う必要があったのか。

 乃木は国際的テロ組織「テント」のモニター、アル=ザイール(エルハムバヤル・ガンボルド)を爆死させた疑いがかかっていたとはいえ、証拠はなかった。そもそも濡れ衣だ。西岡はワニズの要求を突っぱねてしまえばよかったのである。

 それができなかったのは、中国の存在があったから。シーズン1が放送された2023年の時点で、日本のレアアース(希土類元素)輸入先に占める中国の割合は約70%だった。

 現在も日本はレアアースの約68%を中国に依存する。一方、バルカの地下には、レアアースと同じ戦略資源のフローライトが大量に眠る。埋蔵量は1億6000万トン、時価約14兆4000億円とされる。バルカとの友好関係が保たれないと、中国への資源依存が続いてしまう。経済安全保障上、危険だ。だから西岡はワニズに従うほかなかった。

 その点、乃木は最初から世界的に重要人物だった。別班員であるだけでなく、丸菱商事のエネルギー開発事業部2課長としてバルカを担当していたからである。当初は太陽エネルギープラント事業の担当者だったものの、知らず知らずのうちに、大量のフローライトを所有するテントと密接に関わるようになった。なにしろテントの創始者であるノゴーン・ベキ(役所広司)の実子だ。乃木が巻き込まれた「巨大な渦」とは、フローライトの国際的な争奪戦だった。

 亡くなったことになっているベキに代わり、フローライトの採掘責任者になったのは、乃木の義弟でテント幹部のノコル(二宮和也)。フローライト鉱床のある土地を買い集めている。

 一方で丸菱商事マンとしての乃木は、精製技術と販売面のノウハウを提供することになった。テントの存在目的は、孤児院の運営や貧困層の救済。その資金を得るため、報酬をもらってテロ行為に及んできたが、フローライト事業が軌道に乗ったら、テロを行わなくても済む。

 乃木はシーズン1最終回の第10回で、西岡に対し、「われわれと手を組みませんか」と持ち掛けた。西岡はワニズからフローライトを得る考えを捨て、乃木と組んだ。国益は守られた。

 原作を手がけ、監督と脚本を兼ねる福澤克雄(62)は、トヨタ自動車の誕生を描いた「LEADERS リーダーズ」(2014年)や「下町ロケット」(2015年)など、国家と企業を考えるドラマを好む。今回も国家への思いが根底にある。

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