ひどい物価高でも「デフレ脱却」を認めない高市総理 積極財政と低金利で「さらなるインフレ」を招く危うさ
インフレなのに利上げしないと国民の資産が目減りする
高市総理は就任前から、「デフレ脱却まで増税や利上げはしない」と訴えていました。たしかに、それは正論です。デフレで物価が下がり、給料も上がりにくいなかで、増税したり利上げしたりすれば、国民の生活は圧迫され、消費が低迷して景気がさらに悪化してしまいます。だからデフレであるかぎり、「増税や利上げをしない」というのは筋が通っています。
しかし政府は、20年前の2006年3月15日に参院予算委員会に提出した「デフレ脱却の定義と判断について」で、「デフレ脱却」とは「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないこと」と定義しています。現状、歴史的な円安に加えてウクライナ危機は続き、ホルムズ海峡の情勢も不安定で、「物価が持続的に下落する状況」など、どう転んでも生じそうにありません。片山さつき財務相は以前、「かじ取りを誤るとデフレに戻る可能性もある」と発言しましたが、可能性を言い出せば、いつでも当てはまります。いま多くの国民がインフレで苦しんでいる以上、インフレ対策を優先すべきなのは当たり前のことです。
だから、物価高を抑えるために、日銀は金利を引き上げて金融環境を引き締める必要がありますし、政府も過度な財政刺激策を抑え、需要を必要以上に押し上げないようにする必要があります。
金利を例にとってみましょう。日銀が政策金利を引き上げると、テレビなどのメディアはすぐに、「住宅ローンの負担が増える」と騒ぎます。しかし、現在の1.0%という金利水準は、物価上昇率に対して低すぎます。さきほど、今年5月の消費者物価上昇率は、実質的に2.8%程度だったというのが内閣府の見解だ、と述べました。そうであれば、物価が2.8%上昇する一方、預金金利がそれを大幅に下回れば、貯蓄の実質的な価値は目減りします。給料も、物価上昇に見合う賃上げがなければ、実質的な購買力が低下します。
考えてみてください。こうした物価上昇による購買力の低下は、家計にとって実質的な負担増になるということなのです。高市総理は消費税収全体の2割強を占める飲食料品の消費税率を、2年限定で1%に下げようとしていますが、そもそもインフレなのに物価上昇率を下回る低金利を続けることで、国民の資産をどんどん目減りさせ、それでは生活が苦しいだろうから消費税の一部を下げるとは、どれだけマッチポンプなのでしょうか。しかも、低金利のもとでは、インフレによる資産の目減り分は、消費減税ではとても埋められないほど大きくなってしまうのです。
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