〈京大病院で医療ミス〉ベテラン執刀医が失敗した原因は… 「現在は当該手術のカルテが見られない状態」

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 脳にできた腫瘍がいくら良性だからといって、開頭手術となれば並大抵のことではない。誰もが尻込みするだろう。

 だが50代の女性患者やその家族は、手術に踏み切った。京都大学医学部附属病院で経験豊富な専門医が執刀するなら、との思いで委ねたはずだ。

 この女性患者はいま、手足が動かず自力で呼吸すらできない重篤な状態にある。人工呼吸器を付け、かろうじて、呼びかけに目を開閉できる程度という。

 今年7月末に行われた手術は10時間に及んだ。そこで摘出されたのは、あろうことか、腫瘍ではない正常な部位。良性腫瘍を脳内に残したまま、呼吸などにかかわる脳幹も傷つけてしまったのである。

 社会部デスクによると、

「8月7日に京大病院が会見を開き、事故を発表しました。女性やご家族に謝罪し、国や京都府、府警の左京署へも報告。外部有識者を含む事故調査委員会を設置したとのことですが、ご家族にしたら堪ったものではないでしょう。女性は、手術前は通常の生活を送っていたのですから」

 執刀したのは40代の脳神経外科医。20年以上の経験があり、女性と同じ部位の手術を100件超も手がけてきたベテランで、

「会見では、脳神経外科の診療科長が“執刀医の判断ミスや思い込みがあったのではないかと思う”と踏み込みました」(同)

「腫瘍ではない」との結果が出たにもかかわらず……

 社会部デスクが事故までの経緯を振り返る。

「女性患者は数年前、ふらつきやめまいといった症状で京大病院を受診しました。診断で脳の深い部分にある良性の腫瘍が原因と判明し、生活上の支障はなかったものの、腫瘍が大きくなる恐れがあったので手術を決めた。小脳や脳幹に隣接する“小脳橋角部(きょうかくぶ)”にできた3センチほどの腫瘍を開頭手術で摘出しさえすれば、症状の悪化は防げるはずでした」

 続いて、関東地方の病院に勤める脳神経外科医の話。

「小脳橋角部は脳の中でもアプローチが難しい領域の一つです。さらに、今回の手術は患者さんが横向きの姿勢だったため、術前に撮影した画像データと実際の手術部位を照らし合わせるナビゲーションシステムの精度が十分でなく、“腫瘍への道筋”は執刀医の経験が優先される状況だったとみられます」

 その状況下で腫瘍と思しき組織を2回採取。病理診断に回し、ともに腫瘍ではないとの結果が出ている。にもかかわらず、執刀医は“腫瘍の端の組織を採ったため腫瘍が含まれていなかった”などと考えた。

「病理診断より、自らの経験と目視による所見を採用したわけです。この誤認は“確証バイアス”と呼ばれます。自分の思い込みが正しいと証明するため、反対の情報を無視してしまう脳のクセです」(同)

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