投高打低の原因とも…プロ野球ファンをヤキモキさせる「飛ぶボール」「飛ばないボール」論争 “統一球”導入でも問題が解決しない理由

  • ブックマーク

「ボールから絶対に目を離すな」……野球を習い始めたときに、コーチや監督から必ず言われる言葉です。バット(打つ)やグラブ(捕る)の動作を支え、得点やアウトなど、競技として欠かすことのできないもの……今回はそのボールの歴史について、東海ラジオでプロ野球実況を35年間、担当し続けてきた村上和宏さんが解説します。

ボールについて

「ホームランは野球の華」という言葉があります。

 贔屓のチームに勝って欲しいのはファン共通の思いですが、同じサヨナラ勝ちでもホームランで決着がついた試合の観客の盛り上がりは格別で、負けたチームのファンにも笑顔が見えることがあります。

 決して安くはないチケットを買って球場に足を運ぶ、あるいは年に1回、もしくはめったに球場に行けないファンにとって、自分が行った試合でホームランを見ることができるのは、贔屓チームの勝利とはまた別の醍醐味なのでしょう。

 広い球場の外野スタンドまで打球を運ぶホームランは、「やっぱりプロはすごい」という印象を強く残してくれます。

 日本で最も広い球場の一つだったバンテリンドームナゴヤにも、今年から「ホームランウイング」が新設され、去年までフェンス直撃や外野フライで終わっていた当たりがホームランになるように。バンテリンドームは遅かった方で、楽天モバイル最強パーク宮城や、みずほPayPayドーム福岡、ZOZOマリンスタジアムなどは、ホームランが出やすいように次々と外野スタンドを改修してきました。

 こうした一連の動きは「ホームランを増やして、お客さんに喜んでもらいたい」という興行側の判断からです。

 さて今回の話題、実はホームランではありません。ホームランになる、ならないは球場の広さも大きく影響しますが、ボールに左右される部分も大きいのです。そこで、プロ野球の試合で使われるボールについて考えていきます。

 かつてプロ野球の試合で使用されていたボールは主催球団に選択権があり、ミズノ、ゼット、アシックスといった大手スポーツ用品メーカーに加え、久保田運動具店や玉澤スポーツ(現・玉澤運動具店)といった歴史ある中小メーカーがボールを製造していました。

 メーカーによって「飛びやすさ」の基準である反発係数にばらつきがあり、それぞれ特性がありました。球団は複数の選択肢の中から主催ゲームで使うボールを選び、各メーカーと契約していました。また、対戦相手によって使うメーカーを変えるチームもあったと言われています。

 ビジターチームの選手が、打席で手ごたえがあったのにスタンドインしなかった際に、「うちのチームと対戦するときだけボールを変えているのではないか」と発言することがあったのはこのような事情からで、あながち間違いともいえませんでした。

次ページ:球場にあったボールを

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。