熊本地震で“ペット同伴避難所”を提供した獣医師 日本では「わが子と共に避難生活」が進まない… 「人命優先だからこそペットも」という考え方
東日本大震災で見た悲惨な現場
人とペットが同じ空間で過ごせる避難所の必要性を德田院長が痛感したのは、15年前に視察した東日本大震災の被災現場だった。
「当時は、『まず人が避難して、ペットは後から迎えに行く』という時代でした。でも現地に入ると、繋がれたまま犬が溺死していたり、原発事故の警戒区域に取り残されて餓死していたり……本当に凄惨でした。『これはもう、ペット同伴の避難所じゃないとダメだ』と感じました」
2016年の熊本地震のころには、ペットを連れて逃げる「同行避難」の考え方は広まり始めていたが、避難先で飼い主とペットが別々に過ごさなければならない問題は残った。
「ペットを連れた避難者は周囲に気を遣い、避難所に居づらさを感じて避難所を出てしまう。それで、猛暑のなかで車中泊を続けたり、倒壊の危険が残る自宅に戻ったりする。それが二次被害につながりかねないのです」
つまりペットの命を守ることが人の命を守ることにもつながるのだ。
なぜ日本では「同伴避難」が進まないのか
今回、德田院長のもとには、英字新聞「ジャパンタイムズ」や台湾のメディアが取材に訪れた。実は海外では、人とペットが同じ場所に身を寄せての避難は珍しくない。德田院長によれば、海外向けメディアは、日本の現状に驚いていたという。日本で同伴避難が進まない背景には、トラブルやクレームを恐れる行政と、社会全体のペット飼育率の低さがあると德田院長は指摘する。
「米国では約7割、欧州でも約半数の家庭がペットを飼っているという調査結果がありますが、日本では犬や猫を飼っている家庭は全体の2割程度と少ない。そのためか、ペットの受け入れに抵抗を感じる人の声が優先されがちです。配られたミネラルウォーターを犬に飲ませただけで『人間が飲む水なのに』と怒られることもあるくらいです」
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