【VIVANT考察】「ベキは死んでいない」…野崎の“謎”の単独行動から生存説を読み解く

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ベキは生存?

 実のところ、TBS関係者は「ベキは死んでいない」と話している。確かにベキの死は、視聴者にも分かる形では確認されていない。ベキのものとされる遺骨があるだけだ。

 遺体を検視した警視庁の一部も、ベキが死んでいないことを分かっており、野崎は別班5人の拉致と関連付けて考えているのではないか。だから野崎は寛道と会い、ベキの行方の手がかりを見つけようとしたのではないだろうか。

 ベキがいないと、テントも困るはず。組織をまとめるのが難しいだろう。第12回におけるアリの不自然な言動をご記憶だろうか。乃木が日本で暮らすジャミーン(ナンディン・エルデネ・ホンゴルズル)について、「今ならバルカでも安心して暮らせそうですね」と話すと、アリは血相を変え、「ダメです!」と語気を強めた。暗にバルカで争いが起こることを示した。

 直後に乃木は、義弟でテントのナンバー2のノコル(二宮和也)からのメッセージをアリに伝えた。

「ベキの葬儀のあともテントに残り、ノコルの力になってください。ノコルが助けてほしいと言ってます」

 アリは、乃木にテントの情報を漏らすという背信行為をしているから、「ノコルが(自分を)受け入れるとは到底思えない」として断る。それでも最後は乃木の言葉を信じた。

 だが、ノコルの言葉はウソだろう。ノコルは第11回でアリを話題にしたが、その口ぶりは冷たかった。第13回でアリがテントに戻ると、2人は抱き合って喜んだものの、見せかけのものに過ぎないと見る。

 アリもノコルと一戦交えるつもりだったのではないか。だからバルカで争いが起こることを示唆した。なにしろテントは、莫大な価値のある、レアアースのフローライトを所有する。争いの種には困らない。組織をまとめられるのはカリスマ的なベキしかいないのではないか。

 シーズン1と2での最も目立った変化は、凄腕ハッカーのブルーウォーカーこと太田梨歩役の交代。シーズン1ではTBSと関係が深い大手事務所に所属する飯沼愛(23)が起用されたが、飯沼の事務所退所と合わせるように降板が発表された。代わりに花岡すみれ(22)が役を引き継いだ。

 それより大きな変化もあった。シーズン1でメイン脚本家だった八津弘幸氏(54)は、シーズン2には参加しなかった。2013年版のTBS「半沢直樹」などを書いた売れっ子で、シリアスな題材にユーモアを忍ばせることを得意とする人だ。「VIVANT」がシーズン2に入った途端、痛快さが薄らぎ、笑いの要素が消え、難解になったが、八津氏の不参加は関係するのか。

 八津氏の不参加の理由は、トラブルなどではない。単純にNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の脚本を担当しているからだ。同時期に2本書くのは無理だ。代わりに原作者でもある福澤克雄監督(62)が脚本陣にも加わった。監督が脚本も書くのはドラマ界では珍しいが、映画界では頻繁にある。

 シーズン1では、乃木と野崎たちがバルカ国の砂漠で地元警察とカーチェイスを繰り広げる場面があった。手に汗を握った。第1回だった。カーチェイスの途中では、乃木たちが警察犬の追跡から逃れるため、顔に糞を擦り付ける場面があった。笑えた。推理することを放棄し、頭を空っぽにして観ても楽しめた。

 個人視聴率は第11回の12.1%から徐々に下がり、第13回は9.7%だった。しかし、15本あるほかの連続ドラマは1%台から5%台前半にとどまっている。相変わらず断トツである。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社。放送担当記者・専門委員として、1994年のNHK連続テレビ小説「春よ、来い」のヒロイン途中交代や、1999年のフジテレビ「愛する二人別れる二人」のやらせ問題などを特報する。2015年に毎日新聞出版へ入社し、サンデー毎日編集次長を務める。編集者としては「小池百合子都知事の真実」などを担当した。2019年に独立。元・放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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