中学受験、夏の教育費だけで50万円超…「講習の時に大きく稼ぐ」 塾講師が明かす家庭の不安をあおる営業術

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 受験生にとって夏休みは「天王山」と呼ばれるが、夏期講習費の相場は高騰しているといわれる。

 都内であれば、夏期講習とそれに付随する費用だけで子供一人あたり20~40万円は当たり前、子供によっては個人授業、合宿、毎日の食事、交通費など合わせて60万円以上かかることもある。

 昨年、長女の中学受験を終えた女性は話す。

「去年で言えば、夏の教育費は実質的に100万円近くいってました。小6の長女の個別指導や勉強合宿に加えて、小5の長男、小3の次女の塾代もありましたから。うちは実家からの援助があったので何とかなりましたが、保護者の間では『~~さんは消費者金融から塾代を借りているらしい』という噂もありました。

 うちの場合は長女だけで50万円以上かかりました。ここに長男と次女の教育費が重なって大きな額になったのです。実家の支援を受けているとはいえ、さすがに申し訳ない気持ちもあり、教育資金を長女だけに集中させて、長男と次女は来年以降に回すことも考えました。

 でも、塾の仕組みがそうさせてくれないのです。夏は毎月の塾代が講習代に組み込まれているとか、講習中に行われるクラス替えテストを受けていないと一番下のクラスに下げられるといったことがあるのです。それで泣く泣く子供全員を通わせることになったのです」

 少子化の中で「中受バブル」と呼ばれるほど熱を帯びている中学受験競争。それに比例して教育費は上昇しており、「受験貧乏」「教育費破産」などという用語まで生まれている。

「コミックバンチKai」で連載されているマンガ「教育虐待~子供を壊す『教育熱心』な親たち」では、中受沼に落ちた人たちのリアルな姿が描かれ、大きな反響を呼んでいる。

 高騰する教育費の裏側には、何があるのか。

講習で「回収」するビジネスモデル

 進学塾の講習料金はなぜ高いのか。

 一般的に言えば、講習の期間は授業数が多いうえ、講習用テキスト、模試、教室管理費などがかかる。ただもっとも大きい要因が塾の収益構造だ。

 これまで5つの進学塾に勤めた経験のある男性講師は話す。

「塾のビジネスモデルは、通常の授業料の値段を抑えて塾生を増やす代わりに、講習の時に大きく稼ぐというものなんです。ただ、少子化の中で、塾は一人の生徒からできるだけ多く講習代を払ってもらわなければならなくなりました。それを象徴するのが、講習のたびに本部から各教室に課されるノルマの厳しさです。職員にとってはノルマを達成することが、会社からの評価に直結するのです」

 大手の進学塾は、複数の教室を持っている。年間を通じて本部からは様々なノルマが各教室に課されるが、それがもっとも厳しくなるのが講習の時期だそうだ。

 たとえば、すでに通っている塾生たちに一人残らず講習を受けさせるという講習受講率ノルマ、何人以上の講習の体験生を受け入れなければならないという体験ノルマ、そのうちの何割を講習後の入塾につなげるという継続ノルマなどがあるのだ。

 夏期講習の場合、ゴールデンウィーク明けくらいから、職員たちはそのノルマ達成の準備に追われる。通塾生や保護者に友達の紹介を頼んだり、ポスティングをしたりするのだ。

 また、講習での売り上げノルマも高く設定されている。塾や教室によっては、この額が塾生全員に通常のコースを受けさせるだけでは届かないことがある。そのため、通常のコースの他に、志望校別特訓講座、苦手科目克服講座、個別補講指導などを用意し、少しでも勉強のできない子や、経済的に余裕のある子に追加受講を勧める。

 さらに塾内でのクラス替えテストを頻繁に行い、点数が悪くてクラスが落ちることが決まった子には、「有料の再テスト」を用意する。クラスが下がれば生徒も親も目の前が真っ暗になる。その心理を巧みに使い、有料の補講をした上で、有料の再テストを受けさせ、クリアすればクラスに残れる仕組みがあるのだ。

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