中学受験、夏の教育費だけで50万円超…「講習の時に大きく稼ぐ」 塾講師が明かす家庭の不安をあおる営業術

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塾が不安を「あおる」手口

 男性講師は話す。

「保護者だって頭の良い人たちが多いので、普通の心理状態では次から次に塾へ課金なんてしません。だからこそ、本部は保護者の不安をあおるようなセリフを並べたマニュアルを作り、研修と称して何度もロールプレイをさせるんです。塾の中にはマニュアルを徹底的に暗記させたり、本部、ブロック、各支部でほぼ毎日のように練習させたりするところもあります。塾講師の中には勉強を教えるのは好きだけど、営業ノルマがつらいと言って辞める人も少なくありません」

 塾側のあおり方はたくさんある。古典的なものであれば、「この夏で子供の人生が変わる」「特別講座は少数限定なので締め切りが近づいている」「合宿を受けるかどうかで、受験までの勉強に対する姿勢や考え方がまったく変わる」といった常套句がそれだ。

 最近では、営業にAIが駆使されているという。講師はつづける。

「今はAIを活用した面談も行われています。AIに生徒の成績を読み込ませた上で、通常のコースを受けた場合、特別講座を追加で受けた場合、個人指導に切り替えた場合の、志望校合格率を算出させるんです。それで面談時に『AIによれば、夏にこれだけやれば、ここまで合格率が上がります』と言う。

 さらに、保護者の情報を入れて、いつのタイミングで、どのように営業を仕掛ければ、受講する確率が高まるかを割り出して面談をすることもあります。子供に中受をさせる親って、AIが好きな人が多いんです。なので、『AIがこう言っている』と言えば簡単に納得するんです」

 進学塾における営業のAI化は急速に進んでいる。それは面談の中身にまで及んでおり、保護者の情報、生徒の成績などを細かく読み込ませた上で、面談でどの弱点を、どのように示し、どう進めればもっとも講習にお金をかけるかをAIに判断させるらしい。

 保護者は「子供のため」と思って中学受験をさせ、それまで何年も多額の教育費を費やしてきた。そんな彼らが受験の天王山と呼ばれている本番まで半年の時期に、AIによって磨き上げられた営業文句を聞かされて財布を開かない方がおかしいのだ。

夏期講習で学力は伸びるのか?

 教育費を払う親からすれば、「課金=成績向上」を期待する。だが、本当に夏期講習でお金を払えば払うだけ、子供の学力は伸びるのか。

 別の進学塾の講師は次のように話す。

「夏期講習で伸びる子は、小5の終わりから小6で塾通いをはじめた子や、夏までスポーツなどをやっていた子です。彼らは伸びしろがあり、かつ夏期講習を通して『問題を解ける楽しさ』を知ったり、勉強のやり方を身につけたりするので飛躍的に学力が上がることがある。逆に低学年の頃からずっと塾通いをさせられてきたような子は、やりすぎで疲れ果ててしまい、成績が落ちるリスクが出てきます」

 日本の進学塾に通う中国人など外国ルーツの子供も増えており、中学受験をする傾向にあるそうだ。講師によれば、こういう子たちも、やはり「伸びしろ」があるので夏期講習で成績がぐんと上がることが珍しくないらしい。日本語や、日本の学習環境、それに日本式の勉強法に慣れるということもあるのだろう。

 こうした現実の中で、親子関係に亀裂が入ったり、夫婦関係の崩壊が起きたりすることがある。その詳細は、マンガ「教育虐待」に譲るとして、取材中に多くの保護者が口を揃えていたのが「受験が終わってからの方がお金がかかる」という話だ。

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